专利摘要:
本発明は、大環状プロドラッグ化合物、それらを含有する医薬組成物を含む。本発明は、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経もしくは神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギー、喘息、ホルモン関連疾患、および神経線維腫症に起因する腫瘍または症状を含む、様々な疾患の治療におけるこれらの化合物の使用も含む。
公开号:JP2011513237A
申请号:JP2010547837
申请日:2009-02-23
公开日:2011-04-28
发明作者:ウインサンジエ,ニコラ;チエン,ルイホン;チヤバラ,ジヨン・シー;バルルエンガ,ソフイア;ヘツク,ジエイムズ;ユイ,ジン−チエン;ルーベンシユタイン,アラン
申请人:ネクスジエニクス・フアーマシユーテイカルズ;ユニベルシテ ドゥ ストラスブール;
IPC主号:C07D405-12
专利说明:

[0001] (関連出願の相互参照)
本出願は、2008年2月21日に出願された米国仮出願第61/030,446号、名称「MACROCYCLIC PRODRUG COMPOUNDS USEFUL AS THERAPEUTICS」の優先権を主張し、内容は、その全体をあらゆる目的において参照により、本明細書に組み込まれる。本出願は、いずれも2007年8月10日に出願された国際出願第PCT/US2007/017754号およびUS逐次番号11/891,652、名称「Macrocyclic CompoundsUseful as Inhibitors of Kinase and HSP90」、および2007年8月10日に出願された国際出願第PCT/US2007/075739号、名称「Treatment of Neurofibromatosis with Radicicol and its Derivatives」、および2009年1月15日に出願された国際出願第PCT/US2009/031149号、名称「Synthesis of Resorcylic Acid Lactones Useful as Therapeutic Agents」にも関し、その内容は、その全体が全ての目的のために参照により、本明細書に組み込まれる。]
[0002] (技術分野)
本発明は、新規誘導体のプロドラッグ、類似体、ならびに天然物ラジシコールおよびポコニンに関し、またそれらの合成に関する。さらに、本発明は、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経または神経変性疾患、癌、心血管性疾患、アレルギー、喘息、ホルモン関連疾患、および神経線維腫症に起因する腫瘍または症状などの様々な疾患の治療におけるこれらの化合物の使用に関する。]
背景技術

[0003] (発明の背景)
1950年代の半ばに、リン酸化を触媒するタンパク質キナーゼを用いて、または脱リン酸化工程に関与するタンパク質ホスファターゼによって、リン酸化が酵素の機能を可逆的に変化させることができることが発見された。これらの反応は、多くの細胞過程、特に、シグナル変換経路を調整するのに重要な役割を果たす。1970年代の後半には、ラウス肉腫ウイルス(v−Src)の形質転換因子が、タンパク質キナーゼであることが発見され、また、発癌プロモーターホルボールエステルが、タンパク質キナーゼCの強力な活性剤であることが認められ、疾病とタンパク質の異常リン酸化との間の初めて知られる関連を明らかにした。その後、変換メカニズムの異常は、多数の発癌性過程を引き起こし、糖尿病、炎症性疾患、および循環器疾患に関与することが認められている(T.Hunter,Cell,100:113−127(2000);P.Cohen,Nat.Rev.Drug Discov.,1:309(2002))。したがって、選択的キナーゼおよびホスファターゼ阻害剤は、重要な薬剤標的として出現し、キナーゼリン酸化活性の阻害は、化学療法の最も有望なストラテジーの1つである。3つのキナーゼ阻害剤の薬剤である、Ablを阻害するグリベック(Gleevec)、ならびにEGFRを阻害するイレッサ(Iressa)およびタルセバ(Tarceva)が、既に認可されている。]
[0004] キナーゼ媒介のリン酸化またはセリン、トレオニン、またはチロシン残基のホスファターゼ媒介の脱リン酸化反応によるタンパク質活性の調節は、ほとんどのシグナル変換メカニズムの中心である(T.Hunter,Cell,100:113(2000))。6−ジメチルアミノプリンおよびスタウロスポリン等の小分子阻害剤は、このようなリン酸化機構の重要性を解明するのに役立ち、キナーゼの生物学的機能を明らかにした。キナーゼは、0.1〜10μMのKmを有するATPに結合し、特定のタンパク質の特定の残基にγ−リン酸塩基を選択的に転移する。リン酸転移反応に関与する残基を有するATP結合部位から成る、キナーゼのコアドメインは、キノーム全体において高度に保存される(G.Manning et al.,Science,298:1912(2002))。これにより、この高度に保存されるATP結合ポケットを標的とする阻害剤は、高濃度(mM)で存在するATPに競合しなければならないだけでなく、必然的に選択性に欠けることが推測される。(R)−ロスコビチン等の修飾プリンが、強力かつ極めて選択的な阻害剤であるという発見(L.Meijer and E.Raymond,Acc.Chem.Res.,36:417(2003))は、その概念に反論し、プリン骨格周辺の組み合わせライブラリの合成という考えを生み出し(Y.T.Chang et al.,Chem.Biol.,6:361(1999);S.Ding et al.,J.Am.Chem.Soc.,124:1594(2002))、重要な手がかりをもたらした(N.S.Gray et al.,Science,281:533(1998);M.Knockaert et al.,Chem.Biol.,7:411(2000))。]
[0005] 大環状レゾルシン酸ラクトン類もまた、この点において研究されている。この種類の化合物の原型は、ラジシコール、およびそれに関連したポコニンであり、それらは、ポコニアクラミドスポリア(Pochonia chlamydosporia)亜種連鎖型P0297等のクラビシピタセウス(clavicipitaceous)線菌網ポコニア(Pochonia)属の培養物から単離した、構造的に関連する群の二次代謝産物である。例えば、V.Hellwig et al.,J.Natural Prod.,66(6):829−837(2003)を参照のこと。ハロヒドリン、およびラジシコールのオキシム誘導体が調製され、それらのv−srcチロシンキナーゼ阻害活性、抗増殖活性、および抗癌インビトロ活性が評価された(T.Agatsuma et al.,Bioorg.&Med.Chem.,10(11):3445−3454(2002)。]
[0006] キナーゼと同様に、熱ショックタンパク質(HSP)は、ATPと相互作用し、疾病を制御するための重要な標的であるが、それらは、異なる機能効果を有する。熱、低酸素症または酸血症等のストレスへの曝露直後、ほとんどの組織の細胞は、HSPの生成率を急速に増大する。現在、熱HSPは、分子シャペロンである、すなわち、不適切な会合を防ぎ、クライアントおよび基質と集合的に称する他の細胞タンパク質の正しい折り畳みを支援すると考えられている。HSPはまた、腫瘍および他の病態生理学状態と関連することが明らかにされている。実際、シャペロンタンパク質は、細胞内の変化に対する耐性を促進することにより、ストレス環境における腫瘍細胞の生存を促進する。HSPは、遍在性があり、種内で高度に保存され、通常、分子量によって、以下の主要ファミリー:HSP100、HSP90、HSP70、HSP60、および低分子量HSPに分類される。これらのファミリーは、構造的および機能的に異なるが、タンパク質折り畳みの異なる段階で共働する。HSP90は、悪性形質転換および転移進行で重要な役割を果たす、v−SrcおよびRaf等の多くの種類のシグナリング分子との関連から、特に注目されている。したがって、HSP90阻害剤は、化学療法を設計するため、および、複雑なシグナリングネットワークにおける相互作用を解明するために望まれる。]
[0007] 熱ショックタンパク質90(Hsp90)は、多くの「クライアント」タンパク質の適切な配座を維持する遍在性シャペロンタンパク質であり(Kamal et. al.TrendsMol.Med.2004,10,283−290;Dymock et. al.Expert Opin.Ther.Patents 2004,14,837−847;Isaacs et. al.Cancer Cell,2003,3,213;Maloney et. al.Expert Opin.Biol.Ther.2002,2,3−24 および Richter et. al.J. Cell.Physiol.2001,188,281−290を参照)、シグナル変換、細胞周期の制御および転写調節に関与する主要タンパク質などの広範囲のタンパク質の折り畳み、活性化、およびアセンブリに関与する。研究者は、HSP90シャペロンタンパク質は、例えば、Raf−1、EGFR、v−Srcファミリーキナーゼ、Cdk4、およびErbB−2などのステロイドホルモンレセプターおよびタンパク質キナーゼ等の重要なシグナル伝達タンパク質と関連すると報告している(Buchner,TIBS,1999,24,136−141;Stepanova et. al.,Genes Dev.1996,10,1491−502;Dai et. al.,J.Biol.Chem.1996,271,22030−4)。研究はさらに、特定のコシャペロン(co−chaperone)、例えば、Hsp70、p60/Hop/Sti1、Hip、Bag1、HSP40/Hdj2/Hsj1、イムノフィリン、p23、およびp50がその機能においてHSP90を補助し得ることを示唆している(例えば、Caplan,Trends in Cell Biol.,1999,9,262−268を参照)。Hsp90の阻害は、これらのクライアントタンパク質に異常構造を導入させ、これらの異常に折り畳まれたタンパク質は、ユビキチン化およびプロテアソーム分解を介して、細胞により、急速に除去される。興味深いことに、Hsp90クライアントタンパク質のリストは、一連の周知の癌遺伝子を含む。それらのうちの4つは、臨床的に確証される癌標的:HER−2/neu(Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ))、Bcr−Abl(Gleevec(登録商標)(メシル酸イマチニブ))、エストロゲン受容体(タモキシフェン)、およびアンドロゲン受容体(Casodex(登録商標)(ビカルタミド))であるが、他は、癌の発生に重要な役割を果たす。ほとんどの感受性Hsp90クライアントの一部は、増殖シグナル伝達に関与する(Raf−1、Akt、cdk4、Src、Bcr−Abl等)。対照的に、癌抑制遺伝子は、もしあれば、Hsp90のクライアントであることはほとんどなく(クライアントタンパク質のリストに関しては、Pratt et. al.Exp.Biol.Med.2003,228,111−133;Workman et. al.Cancer Lett.2004,206,149−157 および Zhang et. al.J.Mol.Med.2004,82,488−499を参照)、したがって、Hsp90の阻害は、一般的な抗増殖効果を有する。さらに、いくつかのクライアントタンパク質は、腫瘍形成、アポートシス回避(例えば、Apaf−1、RIP、Akt)、不死(例えば、hTert)、血管形成(例えば、VEGFR、Flt−3、FAK,、HIF−1)、および転移(c−Met)といった、他の基本のプロセスに関与する。]
[0008] しかしながら、薬用HSP阻害剤は、HSPが建設的な役割も果たすため、選択的でなければならない。非ストレス状態下で、HSP90は、真核細胞に存在する最も豊富なタンパク質の1つであり、全細胞タンパク質含有量の1〜2%を占め、細胞にストレスを加える場合、約2倍だけ増加する。天然のクライアントへの結合では、HSP90は、例えば、新生ポリペプチドの折り畳み、細胞膜に渡ってタンパク質の輸送、正常なタンパク質の代謝回転に対する、不可欠なハウスキーパーである。さらに、HSP90は、シグナリング分子の翻訳後の調節に重要な役割を果たし、活性化をもたらす。HSP90は、めったに単独で機能しないが、シャペロンHSP70、コシャペロン(co−chaperone)(HSP40,CDC37/p50,AHA1,p23)、および付属タンパク質を伴い作用する。]
[0009] HSP90の多数のクライアントタンパク質は、成長制御、細胞生存、および成長プロセスに重要な役割を果たし、これらのクライアントは、受容体チロシンキナーゼ、セリン/トレオニンキナーゼ、ステロイドホルモン受容体、転写因子、およびテロメラーゼを含むことが知られている。クライアントの発癌突然変異はまた、クライアント自体であるが、HSP90機能のより高度な必要条件を有し、例えば、突然変異v−SRCチロシンキナーゼは、HSP90タンパク質の共同集合からさらにタンパク質折り畳みの機能を必要とする(Y.Xu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,96:109(1999);.H.Oppermann et al.,Ibid.,78:1067(1981);L.Whitesell et al.,Ibid.,91:8324(1994))。同様に、癌抑制遺伝子タンパク質p53の突然変異は、ヒト癌に認められる最も一般的な分子遺伝学的欠陥をもたらし、ほとんどのp53突然変異は、HSP90との広範な相互作用を示し(恐らく、異常構造のため)、プロテアソームによる通常のユビキチン化およびその後の分解を防ぐ(M.V.Blagosklonny et al.,Ibid.,93:8379(1996))。しかしながら、その遍在性関与にもかかわらず、HSP90のクライアントはほとんど、プロ成長シグナル伝達タンパク質であり、そのシャペロン機能は、腫瘍形成中、破壊され、悪性形質転換の進行および形質転換した表現型をもたらす。]
[0010] 抗癌および抗腫瘍活性に加えて、HSP90阻害剤はまた、抗炎症剤、抗感染症剤、自己免疫治療剤、虚血治療剤、および神経再生の促進に有用な薬剤としての使用などの多種多様の他の効用に関与している(例えば、Rosen et al.,WO02/09696;PCT/US01/23640;Degranco et al.,WO99/51223;PCT/US99/07242;Gold,U.S.Pat.No.6,210,974 B1を参照)。硬皮症、多発性筋炎、全身性狼瘡、関節リウマチ、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、および肺線維症が挙げられるが、これらに限定されない線維形成疾患は治療可能であり得ることが文献に報告されている(Strehlow,WO02/02123;PCT/US01/20578)。]
[0011] したがって、アンサマイシンおよび他のHSP90阻害剤は、多種の疾患の治療および/または予防に大いに期待できる。しかしながら、Hsp90阻害剤由来の多くの天然物は、医薬としては欠陥を示し、それらが比較的不溶性であることが、製造および投与することを困難にし、容易に合成されず、現在、少なくとも部分的に発酵を介して生成されなければならない。さらにまた、アンサマイシンの用量規定毒性は、肝疾患である。例えば、現在第II相臨床試験中である準合成阻害剤17−アリルアミノ、17−デスメトキシ−ゲルダナマイシン(17−AAG)は、製造するには費用がかかり、、製造するのは困難であり(17−AAGのDMSO溶液の注入から成るNCI臨床プロトコル)、現在のところ、非経口でのみ投与される。17−ジメチルアミノエチルアミノ類似体(17−DMAG)は、より可溶性であるが、前臨床毒性研究において、17−AAGの副作用のすべて、ならびに胃腸からの大量出血を示す(Glaze et. al. Proc.Am.Assoc.Cancer.Res.2003,44,162−162およびEiseman et. al.Cancer Chemother.Pharmacol.2005,55,21−32)。別の天然物Hsp90阻害剤である、ラジシコール(RC)は、水難溶性であり、異種移植片モデルにおいて不活性である。ラジシコールの準合成オキシム誘導体は、より良好な水溶性、およびマウスモデルにおいて、著しく改善された薬理学的特性を提供するが、静脈内投与にまだ限定されている(Ikuina et. al.J.Med.Chem.2003,46,2534−2541。さらになお、ラジシコールおよびそのオキシムは、安定性および毒性の責任と見なされているオキシラン環を含み、シクロプロパラジシコールの合成を促進する:Yang et. al.J.Am.Chem.Soc.2004,126,7881 および 2003,125,9602−9603)。アンサマイシンの潜在性に関わらず、別のHSP90阻害剤は、したがって、必要とされる。]
[0012] 完全合成の、Hsp90経口阻害剤は、さらに適応性のある投与計画の選択肢を提供し、天然物阻害剤の副作用を避ける可能性のために、求められている。Chiosisらは、HSP90のATP結合ポケットを結合する能力において、ゲルダナマイシンおよび他のアンサマイシンを模倣し、したがって、HSP90を阻害する、プリン類似体の設計および合成を記載した。国際特許出願PCT/US01/46303(WO02/36075;Chemistry&Biology8:289−299(2001)を参照。Chiosisらが記載した特定化合物は、3、4、および5の位置で置換されたトリメトキシベンジルエンティティを含んだ。ゲル結合アッセイを使用して、これらは、17−AAGよりも約20倍弱くHSP90を結合することが示された。]
[0013] より最近では、他の新規の非天然物Hsp90阻害剤が報告されている(例えば、PU3およびCCT018159;Chiosis et. al. Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,10,3555−3564;Vilenchik et. al. Chem.Biol.2004,11,787−797;Chiosis et. al. WO0236075,2002;Drysdale et. al. WO03/055860 A1,2003;Wright et. al. Chem.Biol.2004,11,775−785;Dymock et. al. Bioorg.Med.Chem.Lett.2004,14,325−328;Dymock et. al. J.Med.Chem.2005,48,4212−4215 Structure of Hsp90 in complex with PU3 pdb code 1UY6,and with PU24FCl: pdb code 1UYF および Clevenger et. al. Org.Lett.2004,6,4459−4462を参照。)これらの阻害剤の構造は、ATP、ゲルダナマイシン、またはラジシコールと複合してHsp90の結晶構造を使用して、設計された。PU3等の8−ベンジルアデニンは、アデニン結合部位(ヒンジ領域)を指し示すアデニン環と、ゲルダナマイシンのキノン環の特性を受け入れるH結合を模倣するトリメトキシベンゼン環と、を有するゲルダナマイシン(Chiosis et. al. Current Cancer Drug Targets,2003,3,371−376)として、同一のC形の構造を導入するために設計された。(PU3のベンゼン環は、ゲルダナマイシンのキノン環として全く同一の配向性を有するように設計されなかった。むしろ、トリメトキシベンゼン部分は、同一の一般的な方向に向き、ゲルダナマイシンのキノン環と水素結合を形成するアミノ酸であるLys112と水素結合を形成するように設計された。)PU3と複合して最近得られたHsp90の結晶構造は、プリン環がADP/ATPにより通常占められる位置を占めるが、ベンゼン環は、Phe138とのrスタッキング相互作用を形成するために、予測されたものとは反対の方向を向くことが確認された。それでもなお、PU3は、Hsp90を阻害し(HER−2分解アッセイ、HER−2 IC50=40μM)、さらなる最適化に対して有益な出発点を得た。PU3に基づく構造活性研究は、次いで、Hsp90とも共結晶化された、さらに活性のあるPU24FCl(HER−2 IC50=1.7μM)をもたらした。PU24FClがDMSO/EtOH/リン酸塩−緩衝化された生理食塩水1:1:1中で処方され、MCF−7異種移植腫瘍移植マウスに腹腔内で投与された場合、100〜300mg/kgでHER−2およびRaf−1の下方制御という、Hsp90阻害と一致する薬力学的反応を誘発し、200mg/kgで腫瘍増殖を有意に抑制した。PU24FClの非常に高用量(500〜1000mg/kg)が、経口投与において類似の薬力学的反応を観察することが必要とされ、いかなる8−ベンジルアデニンも、経口経路により腫瘍増殖を阻害することが報告されていない。我々の管理下では、PU24FClは、不溶性すぎて、経口で効果的に処方、送達できないことが証明された。今のところ、有効性および薬剤学特性を改善するための広範のSAR研究にもかかわらず、Hsp90阻害剤は、経口投与される場合、ヒト癌(異種移植片)の動物モデルにおける活性を示していない。]
[0014] 8−ベンジルアデニンの発見は、8−スルファニルアデニンの設計をもたらし(Kasibhatla et. al. WO3037860,2003、およびLlauger et. al. J.Med.Chem.2005,48,2892−2905)、8−(2−ヨード−5−メトキシ−フェニルスルファニル)−9−ペント−4−イニル−9H−プリン−6−イルアミンにより例示され、いくつかの細胞ベースのアッセイにおいて素晴らしい有効性を示したが、水難溶性であり、臨床的に許容される製剤における十分な経口バイオアベイラビリティを有さなかった。]
[0015] HSP90が阻害される場合、そのクライアントは、分解、すなわち、変性タンパク質は、ユビキチン化された後、プロテアソーム媒介で加水分解される。これまで報告されているほとんどの阻害剤は、N末端ドメインにさらに結合されるが(下記参照)、いくつかは、C末端ドメインと相互作用することが報告され、HSP90は、双方の位置においてATPの結合部位を有する。HSP90のC末端機能は、完全に明らかではないが、本ドメインで相互に作用する化合物は、HSP90機能を明らかに低下させ、抗癌作用を有する。いくつかのレゾルシン酸ラクトンは、HSP90を阻害することが明らかとなっており、したがって、天然物ラジシコールおよびゲルダナマイシン(P.Delmotte and J.Delmotte−Plaquee,Nature(London),171:344(1953);およびC.DeBoer et al.,J Antibiot(Tokyo),23:442(1970)のそれぞれ)は、Srcを活性化する細胞発現の形質転換した表現型を抑えることが示された(H.J.Kwon et al.,Cancer Research,52:6926(1992);Y.Uehara et al.,Virology,164:294(1988))。ハービマイシン等の関連化合物は、類似作用を有することが報告されている(S.Omura et al.,J Antibiot(Tokyo),32:255(1979)。]
[0016] ]
[0017] この点において、研究された他のレゾルシン酸ラクトン類(RAL)には、17−アリルアミノ−17デスメトキシゲルダナマイシン(17AAG)(D.B.Solit et al.,Clin.Cancer Res.,8:986(2002);L.R.Kelland et al.,J.Natl.Cancer Inst.,91:1940(1999))、17DMAG(J.L.Eiseman et al.,Cancer Chemother.Pharmacol.,55:21−32(2005));IPI−504(J.Ge et al.,J.Med.Chem.,49:4606(2006)、KF25706等のオキシム誘導体(S.Soga,et al.,Cancer Res.,59:2931(1999))、およびKF55823(S.Soga et al.,Cancer Chemotherapy and Pharmacology,48:435(2001))、ならびにDanishefsky et al.のシクロプロパラジシコール(A.Rivkin et al.,(同書),44:2838(2005))が含まれる。構造的に関連した変異体は、ラジシコールのカルボキシレゾルシノールおよびゲルダナマイシンのベンゾキノンを有するキメラ阻害剤を含む(R.C.Clevenger and B.S.Blagg,Org.Lett.,6:4459(2004);G.Shen and B.S.Blagg,Ibid.,7:2157(2004);G.Shen et al.,J.Org.Chem.,71:7618(2006))。]
[0018] ]
[0019] ]
[0020] PU3等のプリンは、HSP90のATP結合部位に適合する小分子を設計する目的で研究されている(G.Chiosis,et al.,Chem Biol 8,289−299(2001);G.Chiosis,et al.,Bioorg.Med.Chem.,10:3555(2002);L.LLauger, et al.,J.Med.Chem..48:2892(2005);H.He et al.,(同書),49:381(2006);M.A.Biamonte et al.,(同書),49:817(2006))。]
[0021] ]
[0022] ピラゾール(1−35)(M.G.Rowlandset al.,Anal.Biochem.,327:176(2004);B.W.Dymock et al.,J.Med.Chem.,48:4212(2005))およびベンゾチアゾールチオ−プリン(1−36)(L.Zhang.et al.,J.Med.Chem.,49:5352(2006)は、これらの小分子阻害剤としても最近報告されている。]
[0023] ]
[0024] ラジシコールは、特に注目されている。14員のマクロライドであり、モノルデンとして知られるラジシコールは、強力かつ高度に競合性があり、HSP90のATP結合ポケットに対して高度選択的な配位子である。HSP90は、キナーゼというよりもアデノシン三リン酸加水分解酵素であり、そのATP結合ポケットは、Bergerat折り畳みを有し(A.Bergerat et al.,Nature,386:414(1997);R.Dutta and M.Inouye,TrendsBiochem.Sci.,25:24(2000))、それが、キナーゼのATP結合ポケットと異なる(S.M.Roe et al.,J.Med.Chem.,42:260(1999))。最初の発見後、ラジシコールの薬剤としての応用は、多大な興味をもって注目されている(米国特許第6,946,456号;ならびに米国特許出願公開第2003−0211469号、同第2004−0102458号、同第2005−0074457号、同第2005−0261263号、同第2005−0267087号、同第2006−0073151号、同第2006−0251574号、同第2006−0269618号、同第2007−0004674号、および同第2007−0010432号を参照)。]
[0025] ]
[0026] 際立つことには、ラジシコールの隣接した類似体である一部のレゾルシンマクロライドは、キナーゼを阻害するが、HSP90は阻害しないことが知られている。実際に、LL−Z1640−2は、ラジシコールおよび他のレゾルシライド(resorcylide)が活性しないTAK1キナーゼの強力かつ選択的阻害剤であることが明らかとなった(J.Ninomiya−Tsuji et al.,J.Biol.Chem.,278:18485(2003);P.Rawlins et al.,Int.J.Immunopharma.,21:799(1999);K.Takehana et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,257:19(1999);A.Zhao et al.,J.Antibiotics,52:1086(1999))。オレフィンの1つが還元されている、密接に関連するLL−783,227は、MEKキナーゼの強力阻害剤である(A.Zhao et al.,J.Antibiotics 52:1086(1999))。化合物F87−2509.04は、AUリッチ領域(ARE)を含むmRNA分解を誘発することが明らかとなり(T.Kastelic et al.,Cytokine,8:751(1996))、ヒポテマイシンは、Ras媒介細胞シグナリングを阻害することが明となった(H.Tanaka et al.,Jap.J.Cancer Res.,90:1139(1999))。我々は、アイギアロマイシンDが、CDK阻害剤であることを最近、示した(S.Barluenga et al.,Angew.Chem.,Int.Ed.,46(24):3951(2006))。]
[0027] ラジシコールの他の近類似体は、HSP90を阻害する。ポコニンDは、HSP90の強力な阻害剤である(E.Moulin et al.,J.Am.Chem.Soc.,127(19):6999(2005))。そして、ポコニンAは、HSP90の90nM阻害剤であることが報告されている。ポコニンCは、ヘルペスのヘリカーゼ−プライマーゼ(それは、キナーゼというよりアデノシン三リン酸加水分解酵素である。)の阻害剤であることが明らかとなった(V.Hellwig et al.,J.Nat.Prod.,66:829(2003))。ラジシコールおよびポコニンCは、構造的に極めて類似するが、溶液中において非常に異なる構造、および異なる生物活性を有する(S.Barluenga et al.,Chem.Eur.J.,11:4935(2005)。したがって、大環状の「可撓性」が、レゾルシン酸マクロライド間での阻害の違いにおいて重要な役割を果たす可能性があり、どの場合でも、それらの効果を理論的方法により予測することを困難にさせると考えられる。]
[0028] 一部のレゾルシン酸マクロライドは、キナーゼまたはホスファターゼ阻害剤(米国特許第5,674,892号、同第5,728,726号、同第5,731,343号、および同第5,795,910号)として、または他の酵素を阻害する(米国特許第5,710,174号、フィブリン架橋のFXIIIa触媒を阻害)ことが知られている。レゾルシン酸マクロライドはまた、他の医学的適応に対しても使用された(米国特許出願第3,453,367号、同第3,965,275号、同第4,035,504号、同第4,670,249号、同第4,778,821号、同第4,902,711号、および同第6,635,671号)。]
[0029] ラジシコールおよびポコニンは、天然物であり、それらのいくつかの類似体を合成するための中間体は発酵により得られ得るが、しかしながらそれらの天然物または発酵誘導体にのみ依存することは、化合物の範囲を大幅に制限する。したがって、多くの新規レゾルシン酸マクロライドが合成されている。これらの多くは、ゼアラレン(zearalane)、および、大環状環がフェニル環の炭素間以外に炭素−炭素二重結合を含有しない関連化合物である(米国特許逐次番号3,373,038、同3,586,701、同3,621,036、同3,631,179、同3,687,982、同3,704,249、同3,751,431、同3,764,614、同3,810,918、同3,836,544、同3,852,307、同3,860,616、同3,901,921、同3,901,922、同3,903,115、同3,957,825、同4,042,602、同4,751,239、同4,849,447、および同2005−0256183)。合成はまた、フェニル環外の環炭素間の1つの二重結合で特徴付けられるレゾルシン酸マクロライドに対しても報告されている(米国特許逐次番号3,196,019、同3,551,454、同3,758,511、同3,887,583、同3,925,423、同3,954,805、および同4,088,658)。それらのほとんどは、14員の大員環であるが、合成はまた、12員の大員環の類似体に対しても報告されている(米国特許逐次番号5,710,174、同6,617,348、および同2004−0063778、およびPCT公開第WO02/48135号)。]
[0030] 合成は、また、2つの非芳香族二重結合、および、および大環状上にハロゲン化物あるいは1,2−オキソ基(すなわち、エポキシド)のいずれかを有するラジシコール関連化合物に対しても報告されている(米国特許逐次番号4,228,079、同5,597,846、同5,650,430、同5,977,165、同7,115,651、および日本特許文献第JP6−279279A号、同第JP6−298764A号、同第JP9−202781A号、同第JP10−265381A2号、および同第JP2000−236984号)。ラジシコール関連化合物のオキシム合成は、米国特許逐次番号5,977,165、同6,239,168、同6,316,491、同6,635,662、同2001−0027208、同2004−0053990、日本特許文献第JP2003−113183A2号、およびPCT公開第WO99/55689号に開示されている。ラジシコールのシクロプロパ類似体の合成は、米国特許第7,115,651号およびPCT公開第WO05/061481号に開示されている。いくつかの他のレゾルシン酸マクロライド類似体の合成は、米国特許公開第2006−0247448号およびPCT公開第WO02/48135号に開示されている。ラジシコール、ならびにポコニンAおよびCも合成されている(S.Barluenga et al.,Angew.Chemie,43(26):3467−3470(2004);S.Barluenga et al.,Chemistry−A European Journal,11(17):4935−4952(August 19,2005);E.Moulin et al.,et al.,Organic Letters,7(25):5637−5639(December 8,2005)。]
[0031] 上記の進歩にもかかわらず、化学生物学者は、複雑なシグナリングネットワーク内で特定のキナーゼの役割をデコンボリューションするために、特定のキナーゼ活性を不活性化する限られた能力に悩み続けている。細胞に浸透し得る小分子が、この問題を解決することが期待できる。そして、キナーゼの生物学的機能は、しばしば、それらの構造によって制御され、それは、次いで、リン酸化レベルおよび分子内および分子間の関連とにより、決定付けられることがますます明白となっている。小分子阻害剤はまた、特定のキナーゼの異なる構造間の差異を見分ける潜在性を有するため、小分子は、それらの構造の各機能を分析する手段を提供する。残念ながら、既知のキナーゼ阻害剤のポートフォリオは、キノームの種々の員の役割を解析する際になされるべきあらゆる範囲の作業を未だ支援することはできない。これは、薬物設計の合理性がキナーゼ機構およびそれらの選択性が理解されるまで達成し得ないため、単に学術探求だけではない。]
[0032] 国際公開第02/09696号
国際公開第99/51223号
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国際公開第02/02123号
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米国特許出願公開第2006−0073151号
米国特許出願公開第2006−0251574号
米国特許出願公開第2006−0269618号
米国特許出願公開第2007−0004674号
米国特許出願公開第2007−0010432号
米国特許第5,674,892号
米国特許第5,728,726号
米国特許第5,731,343号
米国特許第5,795,910号
米国特許第5,710,174号
米国特許第3,453,367号
米国特許第3,965,275号
米国特許第4,035,504号
米国特許第4,670,249号
米国特許第4,778,821号
米国特許第4,902,711号
米国特許第6,635,671号
米国特許第3,373,038号
米国特許第3,586,701号
米国特許第3,621,036号
米国特許第3,631,179号
米国特許第3,687,982号
米国特許第3,704,249号
米国特許第3,751,431号
米国特許第3,764,614号
米国特許第3,810,918号
米国特許第3,836,544号
米国特許第3,852,307号
米国特許第3,860,616号
米国特許第3,901,921号
米国特許第3,901,922号
米国特許第3,903,115号
米国特許第3,957,825号
米国特許第4,042,602号
米国特許第4,751,239号
米国特許第4,849,447号
米国特許出願公開第2005−0256183号
米国特許第3,196,019号
米国特許第3,551,454号
米国特許第3,758,511号
米国特許第3,887,583号
米国特許第3,925,423号
米国特許第3,954,805号
米国特許第4,088,658号
米国特許第6,617,348号
米国特許出願公開第2004−0063778号
国際公開第02/48135号
米国特許第4,228,079号
米国特許第5,597,846号
米国特許第5,650,430号
米国特許第5,977,165号
米国特許第7,115,651号
特開平06−279279号
特開平06−298764号
特開平09−202781号
特開平10−265381号
特開2000−236984号
米国特許第6,239,168号
米国特許第6,316,491号
米国特許第6,635,662号
米国特許出願公開第2001−0027208号
米国特許出願公開第2004−0053990号
特開2003−113183号
国際公開第99/55689号
国際公開第05/061481号
米国特許出願公開第2006−0247448号]
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発明が解決しようとする課題

[0034] したがって、改善された潜在性および選択性のみならず、改善された溶解性およびバイオアベイラビリティを有するキナーゼ阻害剤およびHSP90阻害剤に対する必要性が存在し続けている。]
課題を解決するための手段

[0035] (発明の要旨)
本発明は、構造式I、II、III、IVおよびVを有する化合物、またはそれらの医薬的に許容される塩、溶媒、および/またはエステルと、該化合物またはそれらの医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルを含む医薬組成物と、キナーゼ媒介またはHSP90媒介疾患の治療のための該化合物またはそれらの医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルの使用と、を提供する。]
[0036] 1つの実施形態において、本発明は、式Iの化合物、]
[0037] またはその医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルを提供し、
式中、
R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR、NR2、SR、S(O)R、S(O)2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(CO)R、−N(CO)NR2、−N(CO)OR、−O(CO)R、−(CO)R、−(CO)OR、−(CO)NR2、−O(CO)OR、−O(CO)NR2、または]
[0038] から成る群より選択される構造式であるが、
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも1つが、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式を有することを条件とし、
L1およびL2は、それぞれ独立して共有結合、−O−、または−NR3a−であり、
pは0、1、または2であり、
R1aおよびR2aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、−アルキレン−C(O)−O−R4a、または−アルキレン−O−C(O)−O−R4aであり、
R3aおよびR4aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
L3およびL4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR、NR2、またはSRであり、
R5a、R6a、およびR7aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、
R5は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR、NR2、SR、S(O)R、S(O)2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(CO)R、−N(CO)NR2、−N(CO)OR、−O(CO)R、−(CO)R、−(CO)OR、−(CO)NR2、−O(CO)OR、または−O(CO)NR2であり、
Zは、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)から成る群より選択される構造式を有し、
A1およびA2は、ともに、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−、−CH(ハロゲン)−CH(OH)−、1,2−シクロプロパジイル、または1,2−オキシランであり、
B1およびB2は、ともに、−CH2−CH2−であるか、またはB1およびB2は、ともに、共有結合を表し、
X1は、水素、ハロゲン、OR、NR2、NH−OR、SR、S(O)R、S(O)2R、−N−O−(CH2)n−CO2−Rであるか、またはX1はX2あるいはX3とともに共有結合を表し、
X2およびX3は、いずれも水素であるか、またはX2およびX3のうちの一方が水素であり、他方はX1とともに共有結合を表し、
X4およびX5は、ともに、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SORあるいは=N−N−SO2Rであるか、もしくはX4およびX5のうちの一方は、水素であり、他方は、OH、OR、O(CO)R、O(CO)OR、O(CO)NR2、−(CH2)n−O(CO)OR、−(CH2)n−O(CO)NR2であるか、またはX4およびX5のうちの一方は、X6とともに共有結合を表し、X4およびX5のうちの他方はOH、OR、O(CO)R、O(CO)OR、またはO(CO)NR2であり、
X6は、水素であるか、またはX6は、X4およびX5のうちの1つとともに、共有結合を表し、
各Rは、独立して、水素、アルキル、アシル、アリール、アルカリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、保護基であるか、または2つのR基が同一窒素に結合される場合、前記2つのR基は、窒素とともに、5〜8員複素環またはヘテロアリール環を形成し、
nは1、2または3である。]
[0039] 1つの実施形態において、本発明は、式IIの化合物、]
[0040] またはその医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルを提供し、式中、R7は、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、または=N−N−SO2Rである。]
[0041] 1つの実施形態において、本発明は、式IIIの化合物、]
[0042] またはその医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルであり、式中Rは水素、アルキル、アリールアルキル、アシル、または保護基である。]
[0043] 1つの実施形態において、本発明は、式IVの化合物、]
[0044] またはその医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルを提供し、
式中、R6は、水素、OR、またはNR2である。]
[0045] 1つの実施形態において、本発明は、式Vの化合物、]
[0046] またはその医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルを提供し、
式中、R6は、(CH2)nC(O)ORまたは−(CH2)nC(O)NR2であり、nは1、2または3である。]
[0047] 別の実施形態において、式I、II、III、IV、もしくはVの化合物を含む医薬組成物、または医薬的に許容される担体と組み合わせた、その医薬的に許容される塩、溶媒、および/もしくはエステルが提供される。]
[0048] 1つの実施形態において、本発明は、神経線維腫症2型(NF2)もしくはNF2機能の喪失に関連する状態、または神経線維腫症1型(NF1)もしくはNF1機能の喪失に関連する状態に罹患する対象における神経線維腫症に起因する腫瘍または症状を治療、予防、または改善する方法であって、該対象に、治療上有効量の少なくとも1つの式I、II、III、IV、もしくはVの化合物、またはその医薬的に許容される互変異性体、塩、溶媒、エステル、および/もしくはプロドラッグを投与することを含む、方法を提供する。]
[0049] 1つの実施形態において、本発明は、神経線維腫症2型(NF2)もしくはNF2機能の喪失に関連する状態、または神経線維腫症1型(NF1)もしくはNF1機能の喪失に関連する状態に罹患する対象における神経線維腫症に起因する腫瘍または症状を治療、予防、または改善するための薬剤の製造のための、式Iの化合物、またはその医薬的に許容される互変異性体、塩、溶媒、エステル、および/もしくはプロドラッグの使用を提供する。]
[0050] 1つの実施形態において、本発明は、患者の神経変性疾患を治療、予防、もしくは改善する方法であって、治療上有効量の少なくとも1つの式I、II、III、IV、もしくはVの化合物、またはその医薬的に許容される互変異性体、塩、溶媒、エステル、および/もしくはプロドラッグを、該患者に投与することを含む、方法を提供する。]
[0051] 1つの実施形態において、本発明は、神経変性疾患の治療、予防、または改善のための薬剤を製造するための、式I、II、III、IV、もしくはVの化合物、またはその医薬的に許容される互変異性体、塩、溶媒、エステル、および/もしくはプロドラッグの使用を提供する。]
[0052] 別の実施形態において、本発明は、NF2欠損腫瘍細胞もしくはNF1欠損腫瘍細胞の成長もしくは数を抑制または減少させる方法であって、該NF2欠損腫瘍細胞もしくはまたはNF1欠損腫瘍細胞を、少なくとも1つの式I、II、III、IV、もしくはVの化合物、またはその医薬的に許容される互変異性体、塩、溶媒、エステル、および/もしくはプロドラッグと接触させることを含む、方法を提供する。]
[0053] 別の実施形態において、医薬的に許容される担体と組み合わせた、HSP90阻害有効量の式I、II、III、IV、またはVの化合物を含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、該担体は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、または皮内投与に適している。]
[0054] さらに他の実施形態において、式I、II、III、IV、またはVの化合物を含む医薬組成物は、平均粒径が約2ミクロン未満である粒子を含む。さらに別の実施形態において、該組成物は、生分解性または非生分解性重合体に組み込まれる。]
[0055] 1つの実施形態において、該組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、液体担体、溶質、懸濁剤、増粘剤、着香剤、ゼラチン、グリセリン、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤、分散剤、生分解性重合体、またはそれらのいずれの組み合わせから選択される添加剤を含む。]
[0056] 別の実施形態において、本発明は、疾患を有する患者に、有効量の式I、II、III、IV、またはVの化合物を投与することを含む、疾患を有する患者を治療する方法を提供し、該疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経疾患または神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギー、喘息、もしくはホルモン関連疾患である。]
[0057] 1つの実施形態において、癌を有する患者に、癌治療有効量の式I、II、III、IV、またはVの化合物を投与することを含む、癌を有する患者を治療する方法を提供し、該癌は、固形腫瘍、血液感染性腫瘍、乳癌、卵巣癌、頸癌、前立腺癌、精巣癌、尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌、肺腺癌、骨肉腫、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、精上皮腫、メラノーマ、肉腫、膀胱癌、肝臓癌および胆道癌、腎臓癌、骨髄疾患、リンパ疾患、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、口腔(buccal cavity)癌、咽頭癌、口唇癌、舌癌、口腔(mouth)癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍および中枢神経系癌または白血病であり得る。]
[0058] 別の実施形態において、本発明は、望ましくない血管新生を有する患者に、有効量の式I、II、III、IVまたはVの化合物を投与することを含む、望ましくない血管新生に関連する疾患を有する患者を治療する方法を提供する。]
[0059] 望ましくない血管新生に関連する該疾患は、眼血管新生病、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障および後水晶体繊維増殖症、流行性角結膜炎、ビタミンA欠乏症、コンタクトレンズの過剰着用、アトピー性角膜炎、上方輪部角角膜炎、翼状片乾燥角膜炎、シェーグレン症候群、酒さ、フィレクテヌロシス、梅毒、ミコバクテリア感染、脂質変性、化学火傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、帯状ヘルペス感染、原虫感染症、カポジ肉腫、モーレン潰瘍、テリエン辺縁変性、辺縁表皮剥離、外傷、関節リウマチ、全身性狼瘡、結節性多発動脈炎、ヴェゲナー肉芽腫、強膜炎、スティーブンジョンソン病、類天疱瘡、放射状角膜切除術、または角膜移植片拒絶反応、鎌状赤血球貧血、サルコイド、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、ライム病、全身性エリテマトーデス、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、スターガルト病、扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、またはレーザー手術後の合併症を含む。]
[0060] さらに別の実施形態において、炎症性疾患を有する患者に、有効量の式I、II、III、IVまたはVの化合物を投与することを含む、炎症性疾患を有する患者を治療する方法を提供する。]
[0061] 該炎症性疾患は、内皮細胞の過剰または異常刺激、アテローム性動脈硬化症、血管機能不全、異常創傷治癒、炎症性および免疫疾病、ベーチェット病、通風または痛風性関節炎、関節リウマチを併発する異常な血管形成、皮膚病、乾癬、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、後水晶体繊維増殖症、黄斑変性、角膜移植拒絶反応、血管新生緑内障またはオスラーウェーバー症候群であり得る。]
図面の簡単な説明

[0062] 図1Aおよび1Bは肝臓ホモジネートおよび腸ホモジネートにおける、リン酸塩プロドラッグ1aおよび1bの親化合物に対するインビトロ加水分解を示す。
図2Aおよび2Bは血漿および人工胃液における、リン酸塩プロドラッグ1aおよび1bの親化合物に対するインビトロ加水分解を示す。] 図1A 図2A
[0063] (発明の詳細な記述)
キナーゼおよびHSP90の阻害剤として有用であるレゾルシン酸ラクトンに基づいた新規化合物を提供する。また、化合物を含む組成物および該化合物の調製プロセスも提供する。キナーゼおよびHSP−90の阻害のための化合物の使用、ならびにキナーゼ媒介もしくはHSP90媒介の疾患を有する患者に、式I、II、III、IV、またはVの化合物のキナーゼ阻害有効量またはHSP90阻害有効量を投与することを含む、キナーゼ媒介もしくはHSP90媒介の疾患の治療のための方法を提供する。]
[0064] 化合物
1つの実施形態において、本発明は、式Iの化合物、]
[0065] またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルを提供し、式中、
R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR、NR2、SR、S(O)R、S(O)2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(CO)R、−N(CO)NR2、−N(CO)OR、−O(CO)R、−(CO)R、−(CO)OR、−(CO)NR2、−O(CO)OR、−O(CO)NR2、または]
[0066] から成る群より選択される構造式であるが、
R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも1つが、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式を有することを条件とし、
L1およびL2は、それぞれ独立して、共有結合、−O−、または−NR3a−であり、 pは0、1、または2であり、
R1aおよびR2aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、−アルキレン−C(O)−O−R4a、または−アルキレン−O−C(O)−O−R4aであり、
R3aおよびR4aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、
L3およびL4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR、NR2、またはSRであり、
R5a、R6a、およびR7aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、
R5は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR、NR2、SR、S(O)R、S(O)2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(CO)R、−N(CO)NR2、−N(CO)OR、−O(CO)R、−(CO)R、−(CO)OR、−(CO)NR2、−O(CO)OR、または−O(CO)NR2であり、
Zは、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)から成る群より選択される構造式を有し、
A1およびA2は、ともに、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−、−CH(ハロゲン)−CH(OH)−、1,2−シクロプロパジイル、または1,2−オキシランであり、
B1およびB2は、ともに、−CH2−CH2−であるか、またはB1およびB2は、ともに、共有結合を表し、
X1は、水素、ハロゲン、OR、NR2、NH−OR、SR、S(O)R、S(O)2R、−N−O−(CH2)n−CO2−Rであるか、またはX1はX2あるいはX3とともに共有結合を表し、
X2およびX3は、いずれも水素であるか、またはX2およびX3のうちの一方が水素であり、他方はX1とともに共有結合を表し、
X4およびX5は、ともに、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SORあるいは=N−N−SO2Rであるか、もしくはX4およびX5のうちの一方は、水素であり、他方は、OH、OR、O(CO)R、O(CO)OR、O(CO)NR2、−(CH2)n−O(CO)OR、−(CH2)n−O(CO)NR2であるか、またはX4およびX5のうちの一方は、X6とともに共有結合を表し、X4およびX5のうちの他方はOH、OR、O(CO)R、O(CO)OR、またはO(CO)NR2であり、
X6は、水素であるか、またはX6は、X4およびX5のうちの1つとともに、共有結合を表し、
各Rは、独立して、水素、アルキル、アシル、アリール、アルカリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、保護基であるか、または2つのR基が同一窒素に結合される場合、前記2つのR基は、窒素とともに、5〜8員複素環またはヘテロアリール環を形成し、
nは1、2または3である。]
[0067] 別の実施形態において、本発明は、式IIの化合物を提供し、]
[0068] 式中、R7は、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、または=N−N−SO2Rである。]
[0069] 式IIの化合物の1つの実施形態において、R1は、水素、ハロゲン、またはヘテロシクリルである。]
[0070] 式IIの化合物の1つの実施形態において、R5は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである。]
[0071] 式IIの化合物の1つの実施形態において、A1およびA2は、ともに、−CH=CH−である。]
[0072] 式IIの化合物の1つの実施形態において、A1およびA2は、ともに、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である。]
[0073] 式IIの化合物の1つの実施形態において、A1およびA2は、ともに、1,2−オキシランである。]
[0074] 式IIの化合物の1つの実施形態において、R1は、H、Cl、またはヘテロシクリルであり、R5は、水素、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、A1およびA2は、ともに、−CH=CH−または−C(OH)−C(OH)−であり、X1は、水素、ハロゲン、またはNH−ORであり、R7は、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである。好ましくは、R7は=Oである。R7は、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、または=N−O−(CH2)nCONR2であることも好ましい。]
[0075] 式IIの化合物の1つの実施形態において、R1は、H、Cl、またはヘテロシクリルであり、R5は、水素、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、A1およびA2は、ともに、1,2−オキシランであり、X1は、水素、ハロゲン、またはNH−ORであり、R7は、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである。]
[0076] 式IIの化合物の1つの実施形態において、R1は、H、Cl、またはヘテロシクリルであり、R5は、水素、アルキル、低級アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、A1およびA2は、ともに、−CH=CH−または−C(OH)−C(OH)−であり、X1は、X2とともに結合を表し、R7は、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである。R1がHまたはClであり、R5が水素、メチル、プロピル、イソプロピル、またはフェニルであることも好ましく、およびR7が=N−OR、=N−O−(CH2)nCOORまたは=N−O−(CH2)nCONR2であることも好ましい。R1がClであり、R5が水素であることも好ましい。nが1であることも好ましい。R5が水素であり、R7が=N−O−(CH2)nCOOR,または=N−O−(CH2)nCONR2であることも好ましい。R5が水素、およびR7が=N−ORであることも好ましい。]
[0077] 式IIの化合物の1つの実施形態において、R1は、H、Cl、またはヘテロシクリルであり、R5は、水素、アルキル、低級アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、A1およびA2は、ともに、1,2−オキシランであり、X1は、X2とともに結合を表し、R7は、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである。好ましくは、R7は=Oである。R7が=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、または=N−O−(CH2)nCONR2であることも好ましい。]
[0078] 別の実施形態において、本発明は、式IIIの化合物を提供し、]
[0079] 式中、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、アシル、または保護基である。]
[0080] 式(III)の1つの実施形態において、Rは水素またはアシルであり、R1はH、ハロゲン、またはヘテロシクリルである。]
[0081] 式(III)の1つの実施形態において、R5は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである。]
[0082] 式(III)の1つの実施形態において、X1は、X2とともに共有結合を表す。]
[0083] 式(III)の1つの実施形態において、X1は水素、ハロゲン、NH−OR、NH−O−(CH2)nCOOR、またはNH−O−(CH2)nCONR2である。]
[0084] 式(III)の1つの実施形態において、A1およびA2はともに、−CH=CH−である。]
[0085] 式(III)の1つの実施形態において、A1およびA2はともに、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である。]
[0086] 式(III)の1つの実施形態において、A1およびA2はともに、1,2−オキシランである。]
[0087] 別の実施形態において、本発明は、式IVの化合物を提供し、]
[0088] 式中、R6は水素、OR、またはNR2である。]
[0089] 式IVの1つの実施形態において、Rは、水素またはアシルである。]
[0090] 式IVの1つの実施形態において、R1は、H、ハロゲン、またはヘテロシクリルである。]
[0091] 式IVの1つの実施形態において、R5は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである。]
[0092] 式IVの1つの実施形態において、A1およびA2はともに、−CH=CH−である。]
[0093] 式IVの1つの実施形態において、A1およびA2はともに、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である。]
[0094] 式IVの1つの実施形態において、A1およびA2はともに、1,2−オキシランである。]
[0095] 別の実施形態において、本発明は、式Vの化合物を提供し、]
[0096] 式中、R6は、(CH2)nC(O)OR、または−(CH2)nC(O)NR2であり、nは1、2、または3である。]
[0097] 式Vの1つの実施形態において、R6は、−CH2C(O)N(Me)OMeである。]
[0098] 式Vの1つの実施形態において、R1は、H、ハロゲン、またはヘテロシクリルである。]
[0099] 式Vの1つの実施形態において、R5は、水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである。]
[0100] 式Vの1つの実施形態において、A1およびA2はともに、−CH=CH−である。]
[0101] 式Vの1つの実施形態において、A1およびA2はともに、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である。]
[0102] 式Vの1つの実施形態において、A1およびA2はともに、1,2−オキシランである。]
[0103] 本発明のある実施形態において、上記式構造のうちのいずれかにおけるR2およびR4は、独立して、ORであるか、または(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式であり、R2およびR4のうちの少なくとも1つは、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式であることを条件とし、Rは独立して、アルキル、アシル、アリール、アルカリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、保護基である。]
[0104] ある実施形態において、本発明は、]
[0105] から成る群より選択される構造式を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルを提供する。]
[0106] 1つの実施形態において、本発明は、R2およびR4のうちの1つが構造式(Ia)を有し、L1およびL2のうちの少なくとも1つは−O−であり、pは0または1である、化合物を提供する。好ましくは、L1およびL2はいずれも−O−である。]
[0107] 1つの実施形態において、本発明は、R2およびR4のうちの1つが構造式(Ib)を有し、R5aおよびR6aは、独立して、水素または低級アルキルである、化合物を提供する。]
[0108] 1つの実施形態において、本発明は、R2およびR4のうちの1つが構造式(Ic)を有し、R5a、R6aおよびR7aは、独立して、水素または低級アルキルである、化合物を提供する。]
[0109] 1つの実施形態において、本発明は、R2およびR4のうちの1つが構造式(Id)を有し、L1は−O−である、化合物を提供する。]
[0110] 1つの実施形態において、本発明は、R2およびR4のうちの1つが構造式(Ie)を有し、L1は−O−である、化合物を提供する。]
[0111] 1つの実施形態において、本発明は、R2およびR4のうちの1つが構造式(If)を有し、R5aおよびR6aは、独立して、水素または低級アルキルである、化合物を提供する。]
[0112] 一部の特定実施形態において、本発明は、]
[0113] から成る群より選択される構造式を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルを提供する。]
[0114] 追加の特定化合物
1つの態様において、本発明は、]
[0115] から成る群より選択される構造式を有する特定化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルも提供する。]
[0116] これらの特定化合物は、本明細書において説明される医薬組成物に製剤化され得、本明細書において説明される様々な疾患を治療するために使用することができる。]
[0117] 立体異性および遺伝子多型
キラル中心を有する本発明の化合物は、光学的活性体およびラセミ体で存在し、単離され得る。本発明は、本発明の化合物の、任意のラセミ体、光学活性体、ジアステレオ異性体、多型体、もしくは立体異性体、またはその混合物を包含し、本明細書に記載の有用な特性を所有する。]
[0118] 1つの実施形態において、該化合物は、本明細書に記載のプロセス、あるいは当業者に周知の合成変換を使用して、不斉合成により、光学活性体の形態で調製される。]
[0119] 光学活性材料を得るための方法の例は、当業者に周知であり、少なくとも以下のものを含む。]
[0120] i)結晶の物理的分離:個々の鏡像体の巨視的結晶を手作業で分離させる方法。本方法は、分離鏡像体の結晶が存在する、すなわち、材料が集合体であり、該結晶が、視覚的に異なる場合、使用され得る。]
[0121] ii)同時結晶化:個々の鏡像体がラセミ化合物の溶液から別々に結晶化される方法であるが、ラセミ化合物が固体の状態において集合体の場合にのみ可能である。]
[0122] iii)酵素的分割:酵素との鏡像体に対する反応の異なる割合による、ラセミ化合物の部分的または完全な分離による方法。]
[0123] iv)酵素的不斉合成:所望の鏡像体の鏡像異性体的に高純度または生合成前駆体を得るために、合成の少なくとも1つの工程が酵素反応を使用することによる合成方法。]
[0124] v)化学的不斉合成:所望の鏡像体は、産物において不斉(すなわち、キラリティー)を生成する条件下で、アキラル前駆体から合成され、キラル触媒またはキラル補助基を使用して達成され得る、合成方法。]
[0125] vi)ジアステレオマー分離:ラセミ化合物を、個々の鏡像体をジアステレオマーに転換する鏡像異性体的に高純度試薬(キラル補助基)と反応させる方法。次いで、得られるジアステレオマーは、この段階で、さらに独特な構造の違い、および所望の鏡像体を得るために後に除去されるキラル補助基によって、クロマトグラフィーまたは結晶化により分離される。]
[0126] vii)1次および2次不斉変換:最終的に、原則としては、すべての材料は、所望の鏡像体からの結晶性ジアステレオマーに変換されるように、ラセミ化合物からのジアステレオマーが、所望の鏡像体からジアステレオマーの溶液中の優勢を得るために平衡を保つ、または所望の鏡像体からのジアステレオマーの優先的結晶化が、平衡を乱す方法。所望の鏡像体は、次いで、ジアステレオマーから放出される。]
[0127] viii)動力学的分割:本方法は、動力条件下で、キラル、非ラセミ試薬または触媒との鏡像体の異なる反応率によって、ラセミ化合物の部分的または完全な分解の(または部分的に分解された化合物のさらなる分解の)達成を意味する。]
[0128] ix)非ラセミ前駆体からのエナンチオ選択性合成:所望の鏡像体は、非キラル出発物質から得られ、立体化学的な完全性(integrity)は、合成を通じて失われない、または最小限にのみ失われる、合成方法。]
[0129] x)キラル液体クロマトグラフィー:ラセミ化合物の鏡像体は、固定相との異なる相互作用によって、液体移動相に分離される方法。該固定相は、キラル物質から作られ得る、または該移動相は、異なる相互作用を引き起こすために追加のキラル物質を含有することができる。]
[0130] xi)キラルガスクロマトグラフィー:ラセミ化合物は、揮発され、鏡像体は、その、固定された非ラセミキラルの吸着相を含むカラムとのガス状移動相における異なる相互作用によって分離される方法。]
[0131] xii)キラル溶媒を伴う抽出:鏡像体が、特定のキラル溶媒への1つの鏡像体の優先的な溶解によって分離される方法。]
[0132] xiii)キラル細胞膜を通じて輸送:ラセミ化合物が、薄膜バリアと接触させられる方法。該バリアは、一般に、2つの混和流体を分離し、1つは、ラセミ化合物を含み、濃度または圧力の差等の原動力により膜バリアを通じて優先的な移動を誘発する。分離は、ラセミ化合物の1つの鏡像体のみが通過可能である、膜の非ラセミキラルの特性の結果として生じる。]
[0133] 定義
本明細書における用語が範囲(すなわち、C1−4アルキル)として特定される場合には、該範囲は独立して、それぞれの範囲の要素を意味する。限定されない例として、C1−4アルキルは独立して、C1、C2、C3、またはC4アルキルを意味する。同様に、1つ以上の置換基が基「から独立して選択される」と称する場合には、それぞれの置換基がその群から成るいずれの要素でもあり得、これらの群から成るいずれの組み合わせも該群から分離され得ることを意味する。例えば、R1およびR2は独立して、X、Y、およびZから選択される場合、これには、R1はXでありR2はXであること、R1はXでありR2はYであること、R1はXでありR2はZであること、R1はYでありR2はXであること、R1はYでありR2はYであること、R1はYでありR2はZであること、R1はZでありR2はXであること、R1はZでありR2はYであること、および、R1はZでありR2はZであることという、群を単独に含む。]
[0134] 本明細書において、「アルキル」という用語は、特に指定のない限り、飽和の直鎖状、分枝鎖状、または環状、第1級、第2級、または第3級炭化水素を意味し、C1からC10を有する基が挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」という用語は、「低級アルキル」も含む。]
[0135] 「低級アルキル」という用語は、C1からC4を有する基を含む、飽和の直鎖状、分枝鎖状、または環状、第1級、第2級、または第3級炭化水素を意味し、適切な場合、環状アルキル基(例えば、シクロプロピル)である。]
[0136] アルキル基の説明的な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、secブチル、イソブチル、tertブチル、シクロブチル、1−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびシクロヘキシルがある。特に指定のない限り、該アルキル基は、アルキル、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アシルオキシ、アミノ、アミド、カルボキシル誘導体、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、チオール、イミン、スルホン酸、硫酸塩、スルホニル、スルファニル、スルフィニル、スルファモイル、エステル、カルボン酸、アミド、ホスフォニル、ホスフィニル、ホスホリル、ホスフィン、チオエステル、チオエーテル、酸ハロゲン化物、無水物、オキシム、ヒドロジン、カルバミン酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、ホスホン酸塩から成る群から選択される1つ以上の部分、または例えば、Greene,et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Second Edition,1991に教示されるように、当業者に知られているような、本化合物の薬理学的活性を阻害しない、必要に応じて、保護されない、または保護される、任意の他の生存能力のある官能基で非置換または置換できる。]
[0137] 本明細書において、「ハロ」、または「ハロゲン」という用語は、クロロ、ブロモ、ヨード、およびフルオロを意味する。]
[0138] 本明細書において、「キラル」という用語は、その鏡像上で重ね合わすことができない性質を有する化合物を含む。]
[0139] 「アルキルチオ」という用語は、例えば、C1−4アルキルチオ、エチルチオ、−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル等の特定された炭素数の直鎖状または分枝鎖状のアルキル硫化物を意味する。]
[0140] 「アルキルアミノ」または「アリールアミノ」という用語は、それぞれ、1つまたは2つのアルキルもしくはアリール置換基を有するアミノ基を意味する。本願に他の特に規定のない限り、アルキルが適した部分である場合、置換または非置換に関わらず、低級アルキルである。]
[0141] 「アルキルスルホニル」という用語は、例えば、C1−6アルキルスルホニルまたはメチルスルホニルのように特定された炭素原子数の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキルスルホンを意味する。]
[0142] 「アルコキシカルボニル」という用語は、例えば、メトキシカルボニル、MeOCO−等の特定された炭素原子数のカルボン酸誘導体の直鎖または分枝鎖エステルを意味する。]
[0143] 本明細書において、「ニトロ」という用語は、−NO2を意味し、「スルフヒドリル」という用語は、−SHを意味し、「スルホニル」という用語は、−SO2を意味する。]
[0144] 「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、アルキル部分を意味し、少なくとも1つの飽和C−C結合が、2重または3重結合により置換される置換および非置換型の双方を含む。したがって、C2−6アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、または5−ヘキセニルであり得る。同様に、C2−6アルキニルは、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、または5−ヘキシニルであり得る。]
[0145] 「アルキレン」という用語は、式−(CH2)n−の飽和、直鎖、二価アルキルラジカルを含み、「n」は、1から10の任意の整数であり得る。]
[0146] 「アルキル」、「アルコキシ」、「アルケニル」、「アルキニル」等は、直鎖および分枝鎖基の双方を含む。しかしながら、「プロピル」等の個々のラジカルの言及は、直鎖ラジカルのみを包含する一方、「イソプロピル」等の分枝鎖異性体は、当該のように特に称する。]
[0147] 本明細書において、「アリール」という用語は、他に特に規定のない限り、それぞれの環において、8員までの任意の安定した単環式、二環式、または三環式炭素環を意味し、少なくとも1つの環は、ヒュッケル(Huckel)4n+2則により定義されるように芳香族であり、特に、フェニル、ビフェニル、またはナフチルである。該用語は、置換および非置換部分の双方を含む。該アリール基は、任意の記載の部分と置換され得、ハロゲン(フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨウ素)、ヒドロキシル、アミノ、アジド、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルコキシ、アリールオキシ、ニトロ、シアノ、スルホン酸、硫酸塩、ホスホン酸、リン酸塩、またはホスホン酸塩から成る群から選択される1つ以上の部分が挙げられるが、これに限定されず、当業者により周知の、例えば、Greene et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,3rd Ed.,1999に教示されるように、必要に応じて、保護または非保護される。]
[0148] 「アルカリール」または「アルキルアリール」という用語は、本明細書に定義されるアリール置換基を有するアルキル基、またはアリール基を通じて分子に結合されるアルキル基を意味する。「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、上に定義される、アルキル置換基で置換された、またはアルキル基を通じて分子に結合されるアリール基を意味する。]
[0149] 「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル等が挙げられるが、これらに限定されない、C3−8の環を含む。]
[0150] 「アルコキシ」という用語は、付加された酸素ラジカルを有する直鎖または分枝鎖アルキル基、本範囲内で特定の炭素数、または任意の数を有するアルキル基を意味する。例えば、「−O−アルキル」、C1−4アルコキシ、メトキシ等である。]
[0151] 「アシル」または「O結合したエステル」という用語は、式C(O)R′の群を含み、R′は、直鎖状、分岐鎖状、または環状アルキル(低級アルキルを含む)、アミノ酸のカルボン酸塩残基、フェニルなどのアリール、ヘテロアリール、アルカリール、ベンジルなどのアラルキル、メトキシメチルなどのアルコキシアルキル、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル、または置換アルキル(低級アルキルを含む)、クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨウ素と任意に置換されるフェニルなどのアリール、C1からC4のアルキルもしくはC1からC4のアルコキシ、メタンスルホニルなどのアルキルもしくはアラルキルスルホニル等のスルホン酸エステル、モノ、ジもしくはトリリン酸エステル、トリチルまたはモノメトキシ−トリチル、置換ベンジル、アルカリール、ベンジルなどのアラルキル、メトキシメチルなどのアルコキシアルキル、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキルがある。エステルにおけるアリール基は、好ましくはフェニル基を含む。限定されない実施形態において、アシル基は、アセチル、トリフルオロアセチル、メチルアセチル、シクロプロピルアセチル、シクロプロピルカルボキシ、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ヘキサノイル、ヘプタノイルオクタノイル、ネオヘプタノイル、フェニルアセチル、2−アセトキシ−2−フェニルアセチル、ジフェニルアセチル、α−メトキシ−α−トリフルオロメチル−フェニルアセチル、ブロモアセチル、2−ニトロ−ベンゼンアセチル、4−クロロ−ベンゼンアセチル、2−クロロ−2,2−ジフェニルアセチル、2−クロロ−2−フェニルアセチル、トリメチルアセチル、クロロジフルオロアセチル、ペルフルオロアセチル、フルオロアセチル、ブロモジフルオロアセチル、メトキシアセチル、2−チオフェンアセチル、クロロスルホニルアセチル、3−メトキシフェニルアセチル、フェノキシアセチル、tert−ブチルアセチル、トリクロロアセチル、モノクロロ−アセチル、ジクロロアセチル、7H−ドデカフルオロ−ヘプタノイル、ペルフルオロ−ヘプタノイル、7H−ドデカフルオロヘプタノイル、7−クロロドデカフルオロ−ヘプタノイル、7−クロロ−ドデカフルオロ−ヘプタノイル、7H−ドデカフルオロヘプタノイル、7H−ドデカフルオロヘプタノイル、ノナフルオロ−3,6−ジオキサヘプタノイル、ノナフルオロ−3,6−ジオキサヘプタノイル、ペルフルオロヘプタノイル、メトキシベンゾイル、メチル3−アミノ−5−フェニルチオフェン−2−カルボキシル、3,6−ジクロロ−2−メトキシ−ベンゾイル、4−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)ベンゾイル、2−ブロモ−プロピオニル、オメガ−アミノカプリル、デカノイル、n−ペンタデカノイル、ステアリル、3−シクロペンチル−プロピオニル、1−ベンゼン−カルボキシル、O−アセチルマンデリル、ピバロイルアセチル、1−アダマンタン−カルボキシル、シクロヘキサン−カルボキシル2,6−ピリジンジカルボキシル、シクロプロパン−カルボキシル、シクロブタン−カルボキシル、ペルフルオロシクロヘキシルカルボキシル、4−メチルベンゾイル、クロロメチルイソオキサゾリルカルボニル、ペルフルオロシクロヘキシルカルボキシル、クロトニル、1−メチル−1H−インダゾール−3−カルボニル、2−プロペニル、イソバレリル、1−ピロリジンカルボニル、4−フェニルベンゾイルを含む。]
[0152] 「アシルアミノ」という用語は、「−N(R´)−C(=O)−R´」の構造を有する基を含み、それぞれのR´は独立して、上に定義されたとおりである。]
[0153] 「カルボニル」という用語は、構造「−C(=O)−X−R´」または「X−C(=O)−R´」の基を含み、XはO、S、または結合であり、それぞれのRは独立して、上に定義されたとおりである。]
[0154] 「ヘテロ原子」という用語は、複素環式化合物の構造における炭素または水素以外の原子を含み、それらの限定されない例としては、窒素、酸素、硫黄、リン、またはホウ素がある。]
[0155] 本明細書において、「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」という用語は、4員から14員、好ましくは5員から10員を有する非芳香環系を含み、1つ以上の環炭素、好ましくは1つから4つの環炭素が、それぞれ、ヘテロ原子により置換される。複素環の例としては、3−1H−ベンゾイミダゾール−2−オン、(1−置換)−2−オキソ−ベンゾイミダゾール−3−イル、2−テトラヒドロ−フラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラ−ヒドロピラニル、[1,3]−ジオキサラニル、[1,3]−ジチオラニル、[1,3]−ジオキサニル、2−テトラ−ヒドロ−チオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリニル、3−モルホリニル、4−モルホリニル、2−チオモルホリニル、3−チオモルホリニル、4−チオモルホリニル、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、4−チアゾリジニル、ジアゾロニル、N−置換ジアゾロニル、1−フタリミジニル、ベンゾキサニル、ベンゾピロリジニル、ベンゾピペリジニル、ベンゾキソラニル、ベンゾチオラニル、およびベンゾチアニルが挙げられる。また、本明細書において、「ヘテロシクリル」または「複素環式」という用語の範囲内に、さらに含まれるのは、非芳香族のヘテロ原子を含有する環が、インドリニル、クロマニル、フェナントリジニルもしくはテトラヒドロキノリニル等の1つ以上の芳香族環または非芳香族環に縮合される基であり、そのラジカルまたは結合点は、この非芳香族のヘテロ原子を含有する環上にある。「ヘテロ環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」という用語はまた、飽和であろうと部分的飽和であろうと、任意に置換される環をも意味する。]
[0156] 単独、またはより大きな分子の一部として、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のように使用される、「ヘテロアリール」という用語は、5員から14員を有するヘテロ芳香族環基を意味する。ヘテロアリール環の例としては、2−フラニル、3−フラニル、3−フラザニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−オキサジアゾリル、5−オキサジアゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、1−ピラゾリル、2−ピラゾリル、3−ピラゾリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ピリミジル、3−ピリダジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、5−テトラゾリル、2−トリアゾリル、5−トリアゾリル、2−チエニル、3−チエニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンソフラニル、インドリル、キノリニル、ベンゾトリアゾリル、べンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、イソキノリニル、インダゾリル、イソインドリル、アクリジニル、およびベンゾイソオキサゾリルが挙げられる。また、本明細書において、「ヘテロアリール」の範囲内に、さらに含まれるのは、1つ以上の芳香族環または非芳香族環にヘテロ芳香族環が縮合された基であって、ここで、そのラジカルまたは結合点は、このヘテロ芳香族環上にある。例としては、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[3,4−d]ピリミジニルが挙げられる。「ヘテロアリール」という用語はまた、任意に置換される環を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用され得る。]
[0157] 本明細書において、他に特に規定のない限り、「アミノ」という用語は、構造「−NR2」により示される部分を含み、アルキル、アリール、ヘテロシクリル、および/またはスルホニル基により任意に置換される第1級、第2級、または第3級アミンを含む。したがって、R2は、2つの水素原子、2つのアルキル部分、または1つの水素および1つのアルキル部分を示し得る。]
[0158] 本明細書において、「アミド」という用語は、アミノ−置換カルボニルを含むが、「アミジノ」という用語は、構造「−C(=NH)−NH2」を有する基を意味する。]
[0159] 本明細書において、「第4級アミン」という用語は、正電荷を帯びた窒素を有する第4級アンモニウム塩を含む。それらは、着目化合物の塩基性窒素と、例えば、メチルヨージドまたはベンジルヨージド等の適切な4級化剤との間の反応により形成される。第4級アミンに伴う適切な対イオンとしては、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、クロロ、ブロモ、およびヨードイオンが挙げられる。]
[0160] アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、アルキルアリール等の上述される官能基は、それらの官能基の置換された形態、すなわち、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換ヘテロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アリールアルキル、置換アルキルアリール等を含むことを理解されるべきである。「置換(された)」という用語は、1つ以上の命名された置換基、例えば、ハロ、ヒドロキシル、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ニトロ、シアノ、アジド、アミノ、カルボキシアミド等による多重の置換を含む。多重の置換基の可能性が存在する場合、該化合物は、1つ以上の開示された、または特許請求された置換基により置換され、互いに独立して、単独または複数でなり得る。]
[0161] 本明細書において、他に特に定義のない限り、「保護された」という用語は、そのさらなる反応を防ぐため、または他目的のために、酸素、窒素、またはリン原子に付加される基を意味する。多種多様の酸素および窒素保護基は、有機合成の当業者において知られている。]
[0162] 本明細書において、「保護基」という用語は、酸素または窒素等のヘテロ原子を含む、反応基が反応へ関与するのを防ぐために、反応基に結合され得る基を意味する。Greene, et al.,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley and Sons,Second Edition,1991に教示される任意の保護基が、使用され得る。適した保護基の例としては、エトキシメチルおよびメトキシメチル等のアルコキシアルキル基、tert−ブチルジメチルシリル(TBS)、フェニルジメチルシリル、トリメチルシリル(TMS)、2−トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)、および2−トリメチルシリルエチル等のシリル保護基、ならびにベンジルおよび置換ベンジルが挙げられるが、これらに限定されない。]
[0163] 上述および本明細書に言及される基の種々の可能な立体異性体は、他に特に規定のない限り、個々の用語および例の意図内であることを理解されるべきである。説明的な例として、「1−メチル−ブチル」は、(R)および(S)型の双方で存在し、したがって、(R)−1−メチル−ブチルおよび(S)−1−メチル−ブチルの双方は、他に特に規定のない限り、「1−メチル−ブチル」という用語により網羅される。]
[0164] 「その塩」は、本発明の化合物の任意の酸および/または塩基添加塩を意味する。「その塩」という用語は、その医薬的に許容される塩が挙げられるが、これに限定されない。]
[0165] 「その溶媒和物」は、溶媒和によって形成される、本発明の化合物(溶媒分子と溶質の分子もしくはイオンとの組み合わせ)、または溶質イオンもしくは1つ以上の溶媒分子を有する分子から成る凝集体を意味する。溶媒の一例は水和物である。「その溶媒」という用語は、その医薬的に許容される溶媒が挙げられるが、これに限定されない。]
[0166] 「そのエステル」は、本発明の化合物の任意のエステルを意味し、分子の−COOH機能のうちのいずれかは、−COOR機能に置換され、エステルのR部分は、安定したエステル部分を形成する、任意の炭素含有基であり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、およびその置換誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。「そのエステル」という用語は、その医薬的に許容されるエステルが挙げられるが、これに限定されない。]
[0167] 「医薬的に許容される」は、正しい医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比に相応の、一般に水または油に溶性もしくは分散性であり、それらの意図される使用に有効な、本発明の化合物の塩、溶媒、および/またはエステルを意味する。]
[0168] 本発明の化合物の化学特性に一致および適合する場合、「医薬的に許容される塩」は、医薬的に許容される酸添加塩、および医薬的に許容される塩基添加塩を含む。適切な塩の一覧は、例えば、S.M.Birge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,pp.1−19において認められる。]
[0169] 化合物が、安定した非毒性酸または塩基性塩を形成するのに十分に塩基性または酸性がある場合、塩として化合物の投与は適切であり得る。医薬的に許容される塩または複合体という用語は、本発明の化合物の所望の生物活性を維持し、最小限の望ましくない毒性効果を示す、塩または複合体を意味する。]
[0170] そのような塩の限定されない例としては、(a)例えば、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩、および炭酸塩等の無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)とともに形成される酸付加塩、ならびに、トシラート、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、タータレート、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸、およびα−グリセロリン酸塩を含む、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パモン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、およびポリガラクトン酸等の有機酸とともに形成される塩、(b)亜鉛、カルシウム、ビスマス、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、銅、コバルト、ニッケル、カドミウム、ナトリウム、カリウム、リチウム等の金属カチオン、またはアンモニア、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、テトラエチルアンモニウム、もしくはエチレンジアミンから形成されたカチオンとともに形成された塩基性付加塩、または(c)(a)と(b)の組み合わせ、例えば、亜鉛タンニン酸塩等がある。また、本定義には、当業者により既知の医薬的に許容される第4級塩も含まれ、式−NR+A−の第4級アンモニウム塩を特に含み、Rは、上述のように定義され、Aは、塩素、臭素、ヨウ素、−O−アルキル、トルエンスルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、もしくはカルボン酸塩(安息香酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、マンデロエート、ベンジロエート、およびジフェニルアセテート等)のような対イオンである。]
[0171] 医薬的に許容される塩は、当業者に周知の標準手順を使用して得られ、例えば、アミン等の十分な塩基性化合物を適した酸と反応させることにより生理的に許容されるアニオンを得る。]
[0172] 本明細書において、「プロドラッグ」とは、代謝、例えば、加水分解、または酸化されて、宿主において、活性化合物を形成する化合物を意味する。プロドラッグの典型的な例は、活性化合物の機能的部分において生物学的に不安定な保護基を有する化合物を含む。プロドラッグは、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、水酸化、脱水酸化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、脱リン酸化されて、活性化合物を生成し得る化合物を含む。]
[0173] 「患者」という用語は、ヒトおよび獣医学の対象を含む。]
[0174] 本明細書において、「生体試料」という用語は、細胞培養またはその抽出物、インビトロアッセイに適している酵素の調製物、哺乳類またはその抽出物から得られる生検材料;ならびに血液、唾液、尿、排泄物、精液、涙、もしくは他の体液またはその抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。]
[0175] 「癌」という用語は、固形腫瘍および血液感染性腫瘍が挙げられるが挙げられるが、これに限定されず、以下の癌が挙げられるが、これらに限定されない。乳癌、卵巣癌、頸癌、前立腺癌、精巣癌、尿生殖器癌、食道癌、喉頭癌、膠芽細胞腫、胃癌、皮膚癌、角化棘細胞腫、肺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌、肺腺癌、骨肉腫、結腸癌、腺腫、膵臓癌、腺癌、甲状腺癌、濾胞腺癌、未分化癌、乳頭癌、精上皮腫、メラノーマ、肉腫、膀胱癌、肝臓癌および胆道癌、腎臓癌、骨髄疾患、リンパ疾患、ホジキン病、ヘアリー細胞白血病、口腔(buccal cavity)癌、咽頭(口腔)癌、口唇癌、舌癌、口腔(mouth)癌、咽頭癌、小腸癌、結腸直腸癌、大腸癌、直腸癌、脳腫瘍および中枢神経系癌、ならびに白血病である。「癌」という用語は、原発性癌、治療に続発する癌、および転移性癌を含む。]
[0176] 「医薬的に許容される担体」という用語は、本発明の化合物とともに、患者に投与され得、その薬理学的活性を破壊しない、非毒性担体、アジュバント、または賦形剤を意味する。]
[0177] 本明細書において、「GSK−3媒介疾患」または「GSK−3媒介状態」という用語は、GSK−3が役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態または状況を意味する。このような疾患または状態は、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、心筋細胞肥大(cardiomycete hypertrophy)、再灌流/虚血、および禿頭症が挙げられるがこれらに限定されない。]
[0178] 本明細書において、「CDK−2媒介疾患」または「CDK−2媒介状態」という用語は、CDK−2が役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態または状況を意味する。「CDK−2媒介疾患」または「CDK−2媒介状態」という用語はまた、CDK−2阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態をも意味する。このような状態は、癌、アルツハイマー病、再狭窄、血管形成、糸球体腎炎、サイトメガロウイルス、HIV、ヘルペス、乾癬、アテローム性動脈硬化症、脱毛症、および関節リウマチ等の自己免疫疾患が挙げられるが、これに限定されず、例えば、Fischer,P.M. and Lane,D.P.,Current Medicinal Chemistry,7,1213−1245(2000);Mani,S.,Wang,C.,Wu,K.,Francis,R. and Pestell,R.,Exp.Opin.Invest.Drugs,9,1849(2000);Fry,D.W. and Garrett,M.D.,Current Opinion in Oncologic,Endocrine&Metabolic Investigational Drugs,2,40−59(2000)等に記載される。]
[0179] 本明細書において、「ERK媒介疾患」または「ERK媒介状態」という用語は、ERKが役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「ERK−2媒介疾患」または「ERK−2媒介状態」という用語はまた、ERK−2阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。このような状態は、癌、脳卒中、糖尿病、肝腫脹、心肥大を含む循環器疾患、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、ぜんそくを含むアレルギー性疾患、炎症、神経疾患、およびホルモン関連疾患が挙げられるが、これらに限定されない。種々の疾患におけるERK−2タンパク質キナーゼおよびそのかかわりは、例えば、Bokemeyer et al.1996,Kidney Int.49,1187;Anderson et al.,1990,Nature 343,651;Crews et al.,1992,Science 258,478;Bjorbaek et al.,1995,J.Biol.Chem.270,18848;Rouse et al.,1994,Cell 78,1027;Raingeaud et al.,1996,Mol.Cell Biol.16,1247;Raingeaud et al.1996;Chen et al.,1993 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,10952;Oliver et al.,1995,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.210,162;Moodie et al.,1993,Science 260,1658;Frey and Mulder,1997,Cancer Res.57,628;Sivaraman et al.,1997,J Clin.Invest.99,1478;Whelchel et al.,1997,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.16,589に記載されている。]
[0180] 本明細書において、「AKT媒介疾患」または「AKT媒介状態」という用語は、AKTが役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「AKT媒介疾患」または「AKT媒介状態」という用語はまた、AKT阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。AKT媒介疾患または状態は、増殖性疾患、癌、および神経変性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。タンパク質キナーゼBとしても知られているAKTの種々の疾患との関与は、例えば、Khwaja,A.,Nature,pp.33−34,1990;Zang,Q.Y.,et al,Oncogene,19 2000;Kazuhiko,N.,et al,The Journal of Neuroscience,20 2000に記載されている。]
[0181] 本明細書において、「Src媒介疾患」または「Src媒介状態」という用語は、Srcが役割を果たすことが知られている任意の疾患または他の有害な状態を意味する。「Src媒介疾患」または「Src媒介状態」という用語はまた、Src阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。このような状態は、高カルシウム血症、骨そしょう症、骨関節炎、癌、骨転移の対症療法、およびパジェット病が挙げられるが、これらに限定されない。種々の疾患におけるSrcタンパク質キナーゼおよびそのかかわりは、例えば、Soriano,Cell,69,551(1992);Soriano et al.,Cell,64,693(1991);Takayanagi,J.Clin.Invest.,104,137(1999);Boschelli,Drugs of the Future 2000,25(7),717,(2000);Talamonti,J.Clin.Invest.,91,53(1993);Lutz,Biochem.Biophys.Res.243,503(1998);Rosen,J.Biol.Chem.,261,13754(1986);Bolen,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,2251(1987);Masaki,Hepatology,27,1257(1998);Biscardi,Adv.Cancer Res.,76,61(1999);Lynch,Leukemia,7,1416(1993);Wiener,Clin.Cancer Res.,5,2164(1999);Staley,Cell Growth Diff.,8,269(1997)に記載されている。]
[0182] 本明細書において、「Lck媒介疾患」または「Lck媒介状態」という用語は、Lckが役割を果たすことが知られている任意の疾患状況または他の有害な状態を意味する。「Lck媒介疾患」または「Lck媒介状態」という用語はまた、Lck阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。Lck媒介疾患または状態は、移植片拒絶反応、アレルギー、関節リウマチ、および白血病等の自己免疫疾患が挙げられるが、これらに限定されない。Lckの種々の疾患との関与は、例えば、Molina et al.,Nature,357,161(1992)に記載されている。]
[0183] 本明細書において、「Abl媒介疾患」または「Abl媒介状態」という用語は、Ablが役割を果たすことが知られている任意の疾患状況または他の有害な状態を意味する。「Abl媒介疾患」または「Abl媒介状態」という用語はまた、Abl阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。Abl媒介疾患または状態は、白血病、特に慢性骨髄性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。Ablの種々の疾患との関与は、例えば、Druker,et al.,N.Engl.J.Med.2001,344,1038−1042に記載されている。]
[0184] 本明細書において、「cKit媒介疾患」または「cKit媒介状態」という用語は、cKitが役割を果たすことが知られている任意の疾患状況または他の有害な状態を意味する。「cKit媒介疾患」または「cKit媒介状態」という用語はまた、cKit阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。cKit媒介疾患または状態は、肥満細胞症/肥満細胞白血病、消化管間質腫瘍、副鼻腔ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、精上皮腫/未分化胚細胞腫、甲状腺癌、小細胞肺癌、悪性黒色腫、腺様嚢胞癌、卵巣癌、急性骨髄性白血病、未分化大細胞リンパ腫、血管肉腫、子宮内膜癌、小児T細胞ALL/リンパ腫、乳腺癌、および前立腺癌が挙げられるが、これらに限定されない。cKitの種々の疾患との関与は、例えば、Heinrich,et al.,J.Clinical Oncology 2002,20,1692−1703に記載されている。]
[0185] 本明細書において、「Flt3媒介疾患」または「Flt3媒介状態」という用語は、Flt3が役割を果たすことが知られている任意の疾患状況または他の有害な状態を意味する。「Flt3媒介疾患」または「Flt3媒介状態」という用語はまた、Flt3阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。Flt3媒介疾患または状態は、急性骨髄性白血病、混合系統白血病、および急性リンパ性白血病が挙げられるが、これらに限定されない。Flt3の種々の疾患との関与は、例えば、Sternberg and Licht,Curr.Opin Hematol.2004,12,7−13に記載されている。]
[0186] 本明細書において、「KDR媒介疾患」または「KDR媒介状態」という用語は、KDRが役割を果たすことが知られている任意の疾患状況または他の有害な状態を意味する。「KDR媒介疾患」または「KDR媒介状態」という用語はまた、KDR阻害剤を伴う治療により緩和される疾患または状態も意味する。KDR媒介疾患または状態は、肺癌、乳癌、胃腸管、腎臓、膀胱、卵巣および子宮内膜、多形性膠芽腫を含む頭蓋内腫瘍、散発性毛細血管芽細胞腫、T細胞リンパ腫を含む血液学的悪性腫瘍、急性リンパ性白血病、バーキット細胞白血病および前骨髄球性白血病、加齢性黄斑変性症、ヘルペス眼疾患、関節リウマチ、脳虚血および子宮内膜症が挙げられるが、これらに限定されない。KDRの種々の疾患との関与は、例えば、Ferrara,Endocrine Reviews 2004,25,581−611に記載されている。]
[0187] 「HSP90媒介疾患」または「HSP90媒介状態」という用語は、HSP90が役割を果たすことが知られている状態を意味する。状態は、炎症性疾患、異常細胞増殖、自己免疫疾患、虚血、ならびに硬皮症、多発性筋炎、全身性狼瘡、関節リウマチ、肝硬変、ケロイド形成、間質性腎炎、および肺線維症が挙げられるが、これらに限定されない線維形成疾患が挙げられるが、これらに限定されない(Strehlow,WO02/02123;PCT/US01/20578)。]
[0188] 治療方法
本明細書に記載の化合物は、特に、キナーゼによって媒介される、またはHSP90によって媒介される、疾病の治療または予防に有用である。1つの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、癌転移を含む、増殖性疾患の治療または予防に有用である。別の実施形態において、本明細書に記載の化合物は、キナーゼまたはHSP90に関連する炎症性疾患の治療または予防に有用である。]
[0189] NF2およびNF1患者における腫瘍は、それらが成長の遅い腫瘍であるという点で固有である。NF2およびNF1腫瘍は、いずれも、腫瘍抑制遺伝子における突然変異またはヘテロ接合性の消失を有するが、腫瘍抑制遺伝子は、それぞれ異なるNF2またはNF1遺伝子である。本発明の発明者らは、HSP90の阻害剤が、NF2欠損およびNF1欠損腫瘍細胞の増殖を有力に遮断し、マウスにおけるNF2欠損およびNF1欠損腫瘍細胞の成長も遅延する。マーリン(Merlin)は、複数の細胞表面受容体の豊富さおよび回転率を規制し、複数の経路と相互作用する。これらのタンパク質の多くは、HSP90のクライアントタンパク質である。例えば、ErbB2および他の受容体チロシンキナーゼ、AKT、およびRafは、十分に確立されたHSP90のクライアントタンパク質である。さらに、PI3K/AKT経路の異常活性化は、NF2患者から得たヒトシュワン腫において(正常神経と比較して)、ヒトNF2欠損腫瘍異種移植片(例えば、髄膜腫および中皮腫)において、およびマウスNf2欠損シュワン細胞腫瘍において認められている(2007年6月4日に出願されたPCT/US2007/70366号、名称「Treatment of Neurofibromatosis with Inhibitors of a Signal Transduction Pathway」を参照されたく、これは、その全体として、参照により本明細書に組み込まれる。)。ニューロフィブロミンは、Rasの負の調節因子である。Rasの直接下流エフェクタであるRafは、よく知られたHSP90のクライアントタンパク質である。ニューロフィブロミンは、AKTを規制することも知られている。したがって、HSP90を阻害する化合物は、NF2欠損またはNF1欠損細胞における、AKTおよびErbB2、IGF−IR、およびRaf等の他のHSP90クライアントタンパク質の量を低減できる可能性が高い。これらのタンパク質の量または活性の低減は、NF2欠損細胞またはNF1欠損細胞の増殖を低減または安定化し、NF2欠損細胞またはNF1欠損細胞のアポトーシスをもたらすのに有用であり得る。HSP90の活性を阻害する化合物は、HSP90タンパク質に直接結合するか、HSP90タンパク質を翻訳後に修飾するか、またはHSP70およびHSP27等のHSPタンパク質の転写を規制する、化合物である(Zaarur et al.,2006,Cancer Res.66(3):1783−1791)。例えば、HSP90は、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤によってアセチル化および不活性化することができる(Kovacs et al.,2005,Mol.Cell 18(5):601−607;Fuino et al.,2003,Mol.Cancer Ther.2:971−984;Aoyagi and Archer,2005,TrendsCell.Biol.15(11):565−567)。この理由で、HSP90阻害化合物は、急速に成長する不均一な癌細胞を標的とする、従来の化学療法および他の癌治療に対して十分に応答しない場合がある、NF2欠損腫瘍およびNF1欠損腫瘍の治療に有用であると決定される。]
[0190] NF2−関連腫瘍
神経線維腫症2型(NF2)の患者は、NF2欠損腫瘍を有する。この遺伝的特徴、すなわち、NF2遺伝子の不活性化は、NF2患者において認められる腫瘍を、乳癌および結腸癌腫瘍等の遺伝的に不均一な腫瘍から分化する。例えば、NF2患者は、NF2欠損髄膜腫を有するが、一部の非NF2欠損髄膜腫は、多くの異なる癌遺伝子または腫瘍抑制遺伝子における突然変異体を含有し得る。]
[0191] 本明細書で使用されるように、「NF2欠損腫瘍」は、非官能NF2遺伝子を含有する腫瘍を意味する。非官能NF2遺伝子は、NF2遺伝子内の1つ以上の挿入または欠失変位、例えば、ミスセンスまたはナンセンス変位、NF2遺伝子の非/低発現に至るプロモータもしくはエンハンサあるいはイントロンにおける変位、または全体NF2遺伝子の欠失の結果であり得る。NF2欠損腫瘍は、中皮腫およびNF2患者において認められ、シュワン腫、髄膜腫、および神経系に関連する他の腫瘍を含む。NF2欠損腫瘍は、散発性シュワン腫患者のすべて、および髄膜腫患者の50%〜70%においても認められる。]
[0192] NF2欠損両側性前庭シュワン腫、すなわち、シュワン細胞腫瘍の存在は、NF2の特徴である。本発明の方法を使用して、前庭シュワン腫、脊髄および他の末梢神経シュワン腫および散発性シュワン腫に関連するものを含む、NF2欠損シュワン腫細胞の成長を阻害し、および/または死滅させることができる。]
[0193] マーリン(Merlin)およびシグナリングタンパク質および経路
本明細書で使用されるように、「NF2欠損腫瘍」は、非官能NF2遺伝子を含有する腫瘍を意味する。マーリン(Merlin)は、これらに限定されないが、パキシリン/インテグリン−β1/ErbB2、EGFR、パッチ/平滑化、HRS、CD44、E−カドヘリン、脂肪、EBP50/NHE−RF/PDGFR、ウィングレス、ノッチ、Rac−PAK、PI3K−AKT、Ras−Raf−Mek−Erk2、Hippo経路、およびその下流タンパク質等のタンパク質および経路と相互作用するか、または規制する。図1は、マーリン(Merlin)と複数の細胞表面タンパク質およびシグナリング経路との関与を示す概略図である。複数のタンパク質または経路を標的とすることは、NF2sを治療するために必須であり得る。] 図1
[0194] NF1関連腫瘍
神経線維腫症1型(NF1)の患者は、NF1欠損腫瘍を有する。この遺伝的特徴、すなわち、NF1遺伝子の不活性化は、NF1患者において認められる腫瘍を、乳癌および結腸癌腫瘍等の遺伝的に不均一な腫瘍から分化する。例えば、NF1患者において認められる腫瘍は、すべてNF1遺伝子変異を有するが、他の癌患者は、異なる遺伝子における変異、または異なる遺伝子の過剰発現を有する。]
[0195] 本明細書において、「NF1欠損腫瘍」は、非官能NF1遺伝子を含有する腫瘍を意味する。非官能NF1遺伝子は、NF1遺伝子内の1つ以上の変異の挿入または欠失、例えば、ミスセンスまたはナンセンス変異、NF1遺伝子の非/低発現に至るプロモータもしくはエンハンサあるいはイントロンにおける変位、または全体NF1遺伝子の欠失の結果であり得る。NF1欠損腫瘍は、NF1患者において認められ、皮膚、皮下、叢状神経線維腫、およびMPNST、ならびに神経系に関連する他の腫瘍を含む。NF1欠損によって、個人は、珍しい型の白血病、JMMLにもかかりやすくなる。]
[0196] NF1の診断は、NIH臨床基準を満たすことによって、または突然変異解析を用いてNF1変異を見出することによって確認される。本発明の方法を使用して、皮膚、皮下、叢状神経線維腫、MPNST、神経膠腫、星状細胞腫、褐色細胞腫およびJMMLを含む、NF1欠損腫瘍の成長を阻害し、および/または死滅させることができる。]
[0197] 本発明は、神経線維腫症に起因する腫瘍または症状の治療、予防、または改善のための、式I、II、III、IV、またはVの化合物のHSP90阻害剤としての使用を提供する。化合物を含む組成物、および該化合物の調製のためのプロセスも提供される。]
[0198] 本発明は、NF2欠損またはNF1欠損腫瘍細胞を、上述されるような1つ以上の式I、II、III、IV、またはVの化合物等のラジシコールおよびその誘導体と接触させる、すなわち、治療することによって、NF2欠損および/またはNF1欠損腫瘍細胞の成長を阻害する方法を含む。本発明は、細胞を、上述されるような1つ以上の式I、II、III、IV、またはVの化合物等のラジシコールおよびその誘導体と接触させることによって、NF2欠損またはNF1欠損腫瘍細胞の増殖を減少させる方法も含む。]
[0199] 1つの実施形態において、NF2またはNF1細胞の成長の阻害は、本発明の化合物で治療されたNF2欠損またはNF1欠損腫瘍細胞の試料を、未治療のNF2欠損またはNF1欠損腫瘍細胞、または知られている不活性化合物で治療された細胞の試料等の対照と比較することによって決定される。細胞を本発明の化合物と接触させる前に、NF2欠損細胞またはNF1欠損細胞の両試料(治療済および対照)は、ほぼ同数の細胞から成り、同一細胞型、例えば、NF2欠損シュワン腫またはNF1欠損MPNST細胞であるべきである。ラジシコールおよびその誘導体で治療されたNF2欠損腫瘍細胞またはNF1欠損腫瘍細胞は、対照と比較して、化合物治療後に、数が少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少し得る。]
[0200] 本発明の1つの実施形態において、医薬組成物は、NF2欠損腫瘍またはNF1欠損腫瘍の部位に直接適用される。例えば、HSP90阻害剤は、腫瘍の部位における局所治療および病変内または皮内治療の双方を包含する局所治療によって適用することができる。したがって、NF2欠損腫瘍またはNF1欠損腫瘍上または付近に、阻害剤を注入、局所適用することができる。本発明の1つの実施形態において、阻害剤は、当該技術分野において知られる方法によって、NF2欠損腫瘍またはNF1欠損腫瘍に対して病変内的に適用される。]
[0201] 本発明は、対象における神経線維腫症に起因する腫瘍または症状を治療、予防、または改善する方法であって、治療の有用性を決定するための制御レベルとして、組成物で治療していない場合と比較して、1つ以上のNF2欠損腫瘍またはNF1欠損腫瘍の成長を阻害または遅延し、該腫瘍の数を低減するか、または関連症状を阻害および/もしくは低減する、本発明の少なくとも1つの化合物を含む、治療上有効量の少なくとも1つの組成物を、神経線維腫症2型(NF2)またはNF2機能の欠失に関連する状態のある該対象、または神経線維腫症1型(NF1)またはNF1機能の欠失に関連する状態のある該対象に投与することを含む方法を含む。該方法は、具体的に、1つ以上のNF2欠損腫瘍または1つ以上のNF1欠損腫瘍の大きさおよび/または数の減少をもたらす、本発明の化合物を含む、少なくとも1つの組成物の投与に関する。]
[0202] 本発明の方法は、HSP90複合体の機能を阻害または低下させる、本発明の化合物を投与することを含む。より具体的には、本発明の化合物は、HSP90タンパク質を結合および阻害し、HSP90タンパク質を翻訳後に修飾し、および/またはNF2欠損またはNF1欠損腫瘍におけるHSP70または他のHSPタンパク質をそれらの正常レベルから増加させる。本発明の化合物の投与は、該対象におけるHSP70の上方規制または増加をもたらす。さらに、該方法は、HSP90の1つ以上のクライアントタンパク質およびホスホリル化形態のクライアントタンパク質を分解または減少させる、本発明の化合物を投与することを含む。さらに、該方法は、HSP90の1つ以上のタンパク質に関連するシグナリング経路タンパク質の活性またはリン酸化を阻害または低減する、本発明の化合物を投与することを含む。1つ以上のクライアントタンパク質は、ErbB2、AKT、およびRafから成る群より選択される。HSP90阻害剤は、PI3K、mTOR、GSK3、4E−BP1、Bad、FKHR、HSP90、S6K、S6、Mek、およびErk1/2等のシグナリング経路タンパク質の活性またはリン酸化を阻害または低減する。]
[0203] 本発明の方法は、神経線維腫症2型(NF2)またはNF2機能の欠失に関連する状態に起因する腫瘍または症状を治療、予防、または改善する。より具体的には、1つ以上のNF2欠損腫瘍は、前庭シュワン腫を含み、より具体的には、片側性前庭シュワン腫または両側性シュワン腫を含む。さらに、治療された1つ以上のNF2欠損腫瘍は、脊髄シュワン腫、散発性シュワン腫、末梢神経シュワン腫、シュワン腫、髄膜腫、上衣腫、神経膠腫、および星状細胞腫が挙げられる。]
[0204] 該方法は、本発明の化合物を投与して、対象の聴覚、平衡感覚および視覚のうちの少なくとも1つ、筋肉量の増加、対象における腫瘍負荷の低減において、改善の結果を得る方法を含み、後者は、MRIまたはCATスキャンを使用して識別される。]
[0205] 本発明の方法は、神経線維腫症1型(NF1)またはNF1機能の欠失に関連する状態に起因する腫瘍もしくは症状を治療、予防、または改善する。より具体的には、1つ以上のNF1欠損腫瘍は、皮膚および叢状神経線維腫、視覚経路星状細胞腫、視覚神経腫、視覚神経膠腫、大脳星細胞腫、脳神経膠腫、上衣腫、褐色細胞腫および神経節細胞腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(「MPNST」)、悪性シュワン腫、ならびにJMMLが挙げられる。]
权利要求:

請求項1
式Iの化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステル(式中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR、NR2、SR、S(O)R、S(O)2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(CO)R、−N(CO)NR2、−N(CO)OR、−O(CO)R、−(CO)R、−(CO)OR、−(CO)NR2、−O(CO)OR、−O(CO)NR2、またはから成る群より選択される構造式であるが、R1、R2、R3、およびR4のうちの少なくとも1つが、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式を有することを条件とし、ここで各Rは同一であるか、または異なってもよくL1およびL2は、それぞれ独立して、共有結合、−O−、または−NR3a−であり、pは、0、1、または2であり、R1aおよびR2aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、−アルキレン−C(O)−O−R4a、または−アルキレン−O−C(O)−O−R4aであり、ならびにR3aおよびR4aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクリルアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、L3およびL4は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリールアルキル、OR、NR2、またはSRであり、各Rは同一であるか、または異なっていてもよく、R5a、R6a、およびR7aは、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリールであり、R5は、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールアルキル、アリール、ヘテロアルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、OR、NR2、SR、S(O)R、S(O)2R、−SO2N(R)2、−N(R)SO2R、−N(CO)R、−N(CO)NR2、−N(CO)OR、−O(CO)R、−(CO)R、−(CO)OR、−(CO)NR2、−O(CO)OR、または−O(CO)NR2であり、各Rは同一であるか、または異なっていてもよく、Zは、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、および(Ie)から成る群より選択される構造式を有し、A1およびA2は、ともに、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−、−CH(ハロゲン)−CH(OH)−、1,2−シクロプロパジイル、または1,2−オキシランであり、B1およびB2は、ともに、−CH2−CH2−であるか、またはB1およびB2はともに共有結合を表し、X1は、水素、ハロゲン、OR、NR2、NH−OR、SR、S(O)R、S(O)2R、−N−O−(CH2)n−CO2−Rであるか、またはX1はX2あるいはX3とともに共有結合を表し、各Rは同一であるか、または異なっていてもよく、X2およびX3は、いずれも水素であるか、またはX2およびX3のうちの一方が水素であり、ならびに他方はX1とともに共有結合を表し、X4およびX5は、ともに、=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SORあるいは=N−N−SO2Rであるか、もしくはX4およびX5のうちの一方は、水素であり、ならびに他方は、OH、OR、O(CO)R、O(CO)OR、O(CO)NR2、−(CH2)n−O(CO)OR、−(CH2)n−O(CO)NR2であるか、またはX4およびX5のうちの一方は、X6とともに共有結合を表し、ならびにX4およびX5のうちの他方、はOH、OR、O(CO)R、O(CO)OR、またはO(CO)NR2であり、各Rは同一であるか、または異なっていてもよく、X6は、水素であるか、またはX6はX4およびX5のうちの1つとともに、共有結合を表し、ならびに各Rは、独立して、水素、アルキル、アシル、アリール、アルカリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、保護基であるか、または2つのR基が同一窒素に結合される場合、前記2つのR基は、窒素とともに、5〜8員複素環またはヘテロアリール環を形成し、ならびにnは1、2または3である。)。
請求項2
化合物は、式IIの構造を有し、式中R7は=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、または=N−N−SO2Rである、請求項1の化合物。
請求項3
R1はH、ハロゲンまたはヘテロシクリルである、請求項2の化合物。
請求項4
R5は水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである、請求項2の化合物。
請求項5
A1およびA2はともに−CH=CH−である、請求項2の化合物。
請求項6
A1およびA2はともに、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である、請求項2の化合物。
請求項7
A1およびA2はともに1,2−オキシランである、請求項2の化合物。
請求項8
R1はH、Clまたはヘテロシクリルであり、R5は水素、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、A1およびA2はともに、−CH=CH−または−C(OH)−C(OH)−であり、X1は水素、ハロゲン、またはNH−ORであり、ならびにR7は=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである、請求項2の化合物。
請求項9
R1はH、Cl、またはヘテロシクリルであり、R5は水素、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、A1およびA2はともに、1,2−オキシランであり、X1は水素、ハロゲン、またはNH−ORであり、ならびにR7は=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである、請求項2の化合物。
請求項10
R1はH、Clまたはヘテロシクリルであり、R5は水素、アルキル、低級アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり、A1およびA2はともに、−CH=CH−または−C(OH)−C(OH)−であり、X1はX2とともに結合を表し、ならびにR7は=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである、請求項2の化合物。
請求項11
R1はH、Clまたはヘテロシクリルであり、R5は水素、アルキル、低級アルキル、アリールまたはアリールアルキルであり、A1およびA2はともに、1,2−オキシランであり、X1はX2とともに結合を表し、ならびにR7は=O、=S、=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、=N−O−(CH2)nCONR2、=N−NR2、=N−N−SOR、=N−N−SO2Rである、請求項2の化合物。
請求項12
R1はHまたはClであり、R5は水素、メチル、プロピル、イソプロピル、またはフェニルであり、ならびにR7は=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、または=N−O−(CH2)nCONR2である、請求項10の化合物。
請求項13
R1はClであり、ならびにR5は水素である、請求項12の化合物。
請求項14
nは1である、請求項12の化合物。
請求項15
R5は水素であり、ならびにR7は=N−O−(CH2)nCOOR、または=N−O−(CH2)nCONR2である、請求項12の化合物。
請求項16
R5は水素であり、ならびにR7は=N−ORである、請求項12の化合物。
請求項17
R7は=Oである、請求項8の化合物。
請求項18
R7は=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、または=N−O−(CH2)nCONR2である、請求項8の化合物。
請求項19
R7は=Oである、請求項11の化合物。
請求項20
R7は=N−OR、=N−O−(CH2)nCOOR、または=N−O−(CH2)nCONR2である、請求項11の化合物。
請求項21
化合物は式IIIを有し、式中、Rは水素、アルキル、アリールアルキル、アシルまたは保護基である、請求項1の化合物。
請求項22
Rは水素またはアシルであり、ならびにR1はH、ハロゲンまたはヘテロシクリルである、請求項21の化合物。
請求項23
R5は水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである、請求項21の化合物。
請求項24
X1はX2とともに共有結合を示す、請求項21の化合物。
請求項25
X1は水素、ハロゲン、NH−ORNH−O−(CH2)nCOOR、またはNH−O−(CH2)nCONR2である、請求項21の化合物。
請求項26
A1およびA2はともに−CH=CH−である、請求項21の化合物。
請求項27
A1およびA2はともに−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である、請求項21の化合物。
請求項28
A1およびA2はともに1,2−オキシランである、請求項21の化合物。
請求項29
化合物は式IVを有し、R6は水素、OR、またはNR2である、請求項1の化合物。
請求項30
Rは水素またはアシルである、請求項29の化合物。
請求項31
R1はH、ハロゲンまたはヘテロシクリルである、請求項29の化合物。
請求項32
R5は水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである、請求項29の化合物。
請求項33
A1およびA2はともに−CH=CH−である、請求項29の化合物。
請求項34
A1およびA2はともに−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である、請求項29の化合物。
請求項35
A1およびA2はともに1,2−オキシランである、請求項29の化合物。
請求項36
化合物は式Vを有し、式中、R6は(CH2)nC(O)OR、または−(CH2)nC(O)NR2であり、ならびにnは1、2または3である、請求項1の化合物。
請求項37
R6は−CH2C(O)N(Me)OMeである、請求項36の化合物。
請求項38
R1はH、ハロゲンまたはヘテロシクリルである、請求項36の化合物。
請求項39
R5は水素、アルキル、アリール、ヘテロアリール、またはアリールアルキルである、請求項36の化合物。
請求項40
A1およびA2はともに−CH=CH−である、請求項36の化合物。
請求項41
A1およびA2はともに−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH(ハロゲン)−または−CH(ハロゲン)−CH(OH)−である、請求項36の化合物。
請求項42
A1およびA2はともに1,2−オキシランである、請求項36の化合物。
請求項43
R2およびR4は独立して、ORまたは(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式であり、Rは独立して、アルキル、アシル、アリール、アルカリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、保護基であり、ただしR2およびR4のうちの少なくとも1つが、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(If)から成る群より選択される構造式である、請求項1から42のうちのいずれかの化合物。
請求項44
から成る群より選択される構造式を有する、請求項43の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、またはエステル。
請求項45
R2およびR4のうちの1つは構造式(Ia)を有し、L1およびL2のうちの少なくとも1つは−O−であり、ならびにpは0または1である、化合物1から44のうちのいずれかの化合物。
請求項46
L1およびL2はいずれも−O−である、請求項45の化合物。
請求項47
R2およびR4のうちの1つは構造式(Ib)を有し、ならびにR5aおよびR6aは独立して、水素または低級アルキルである、請求項1から44のうちのいずれかの化合物。
請求項48
R2およびR4のうちの1つは構造式(Ic)を有し、ならびにR5a、R6aおよびR7aは独立して、水素または低級アルキルである、請求項1から44のうちのいずれかの化合物。
請求項49
R2およびR4のうちの1つは構造式(Id)を有し、ならびにL1は−O−である、請求項1から44のうちのいずれかの化合物。
請求項50
R2およびR4のうちの1つは構造式(Ie)を有し、ならびにL1は−O−である、化合物1から44のうちのいずれかの化合物。
請求項51
R2およびR4のうちの1つは構造式(If)を有し、ならびにR5aおよびR6aは独立して、水素または低級アルキルである、化合物1から44のうちのいずれかの化合物。
請求項52
から成る群より選択される構造式を有する、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステル。
請求項53
請求項1から44のうちのいずれかの化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステル、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
請求項54
少なくとも1つの追加の生理活性物質をさらに含む、請求項53の医薬組成物。
請求項55
HSP90媒介疾患の治療、予防、または改善のための薬剤の製造のための、請求項1から44のうちのいずれかの少なくとも1つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルの使用。
請求項56
HSP90媒介疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経もしくは神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギー、喘息、ホルモン関連疾患、および神経線維腫症に起因する腫瘍または症状から成る群より選択される、請求項55に記載の化合物の使用。
請求項57
神経線維腫症2型(NF2)もしくはNF2機能の喪失に関連する状態、または神経線維腫症1型(NF1)もしくはNF1機能の喪失に関連する状態に罹患する対象における神経線維腫症に起因する腫瘍または症状を治療、予防、または改善するための薬剤の製造のための、請求項1から44のうちのいずれかの少なくとも1つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルの使用。
請求項58
請求項1から50のうちのいずれかの前記少なくとも1つの化合物は、1つ以上のNF2欠損腫瘍もしくはNF1欠損腫瘍の成長を抑制または遅延するか、前記腫瘍の数を低減するか、または式Iの少なくとも1つの化合物を用いて治療していない場合と比較して、関連症状を抑制および/もしくは軽減する、請求項57に記載の化合物の使用。
請求項59
請求項1から50のうちのいずれかの少なくとも1つの化合物は、前記1つ以上のNF2欠損腫瘍の大きさおよび/または数の減少をもたらす、請求項58に記載の化合物の使用。
請求項60
1つ以上のNF2欠損腫瘍は、前庭神経鞘腫、脊髄鞘腫、散発性鞘腫、末梢神経鞘腫、神経鞘腫、髄膜腫、中皮腫、上衣腫、神経膠腫および星状細胞腫から成る群より選択される、請求項59に記載の化合物の使用。
請求項61
前庭神経鞘腫は、片側性前庭神経鞘腫または両側性前庭神経鞘腫を含む、請求項60に記載の化合物の使用。
請求項62
請求項1から50のうちのいずれかの前記少なくとも1つの化合物は、前記1つ以上のNF1欠損腫瘍の大きさおよび/または数を減少させる、請求項61に記載の化合物の使用。
請求項63
前記1つ以上のNF1欠損腫瘍は、皮膚および叢状神経線維腫、視覚経路星細胞腫、視覚神経腫、視覚神経膠腫、大脳星細胞腫、脳神経膠腫、上衣腫、褐色細胞腫および神経節細胞腫、横紋筋肉腫、神経線維肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(「MPNST」)、悪性シュワン腫、ならびにJMMLから成る群より選択される、請求項62に記載の化合物の使用。
請求項64
請求項1から50のうちのいずれかの少なくとも1つの化合物は、対象の聴覚、平衡感覚および視覚のうちの少なくとも1つを改善するか、筋肉量を増大するか、または前記対象における腫瘍負荷を低減する、請求項63に記載の化合物の使用。
請求項65
少なくとも1つの追加の活性薬剤をさらに含む、請求項64に記載の化合物の使用。
請求項66
HSP90媒介疾患を治療する方法であって、治療を必要とする患者に、請求項1から44のうちのいずれかの少なくとも1つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルを投与することを含む、方法。
請求項67
HSP90介在疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、神経または神経変性疾患、癌、心血管疾患、アレルギー、喘息、ホルモン関連疾患、および神経線維腫症に起因する腫瘍または症状から成る群より選択される、請求項66の方法。
請求項68
NF2欠損腫瘍細胞もしくはNF1欠損腫瘍細胞の成長もしくは数を抑制または減少させる方法であって、前記NF2欠損腫瘍細胞もしくはNF1欠損腫瘍細胞を、請求項1から44のうちのいずれかの少なくとも1つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステルと接触させることを含む、方法。
請求項69
前記NF2欠損腫瘍細胞またはNF1欠損腫瘍細胞と、式Iの前記少なくとも1つの化合物との接触は、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで行われる、請求項68の方法。
請求項70
前記NF2欠損腫瘍細胞は、Nf2欠損マウスシュワン細胞またはNF2欠損ヒトシュワン細胞であり、ならびに前記NF1欠損腫瘍細胞は、Nf1欠損マウスシュワン細胞またはNF1欠損ヒトシュワン細胞である、請求項69の方法。
請求項71
前記NF2欠損腫瘍細胞または前記NF1欠損腫瘍細胞は、ヒト、イヌ、ラット、またはマウスから得る、請求項70の方法。
請求項72
前記NF2欠損腫瘍細胞は、NF2欠損シュワン腫細胞株細胞、NF2欠損髄膜腫細胞株細胞、およびNF2欠損中皮腫細胞株細胞から成る群より選択される、請求項71の方法。
請求項73
前記NF2欠損腫瘍細胞は、HEI193細胞、SF1335細胞、BAR細胞およびRAV細胞から成る群より選択される、請求項72の方法。
請求項74
前記NF1欠損腫瘍細胞は、ヒトMPNST細胞、NF1患者に由来する原発性神経繊維腫細胞;マウスNf1、cisNf1から確立されたp53欠損MPNST細胞株;p53マウス、およびシュワン細胞、マウス胚細胞、および白血病細胞等のNf1−/−マウス細胞から成る群より選択される、請求項68の方法。
請求項75
前記NF1欠損腫瘍細胞は、ST88−14、88−3、90−8、およびsNF96.2から成る群より選択される、請求項74の方法。
請求項76
前記NF2欠損腫瘍細胞または前記NF1欠損腫瘍細胞と、前記少なくとも1つの式Iの化合物との接触は、ErbB2および/もしくはリン酸化ErbB2の分解、Aktおよび/もしくはリン酸化Aktの分解、Rafおよび/もしくはリン酸化Rafの分解、またはErbB2、AktもしくはRafシグナル伝達経路の下流にあるタンパク質のリン酸化の減少をもたらす、請求項68の方法。
請求項77
前記NF2欠損腫瘍細胞またはNF1欠損腫瘍細胞と、少なくとも1つの追加活性薬剤とを接触させることをさらに含む、請求項76の方法。
請求項78
前記NF2欠損腫瘍細胞またはNF1欠損腫瘍細胞と、少なくとも1つの追加活性薬剤との接触、および前記NF2欠損腫瘍細胞もしくはNF1欠損腫瘍細胞と少なくとも1つの式Iの化合物との接触は、同時もしくは連続して生じる、請求項77の方法。
請求項79
から成る群より選択される構造式を有する化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒、もしくはエステル。
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